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小園海斗の積極性、藤原恭大の足。
ドラフトとは違う二軍球宴の楽しみ。

posted2019/07/16 17:00

 
小園海斗の積極性、藤原恭大の足。ドラフトとは違う二軍球宴の楽しみ。<Number Web> photograph by Kyodo News

先頭打者アーチを放ち、笑顔でベンチに戻る小園海斗。今後の活躍に期待を抱かせた一戦だった。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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Kyodo News

 球界の将来を担う若手の球宴、フレッシュオールスターゲームが今年は楽天の本拠地、楽天生命パーク宮城で行われた。

 試合前のフリーバッティングを見て藤原恭大(ロッテ、'18年1位)と山下航汰(巨人'18年育成1位)の2人に目が留まった。打席に立って構えてから打つまで、バットを引いたり、下げたりという余分な動きがないのが最大の長所である。反動を使わない打ち方なのにそれが窮屈に見えない。7月15日現在、坂本勇人(巨人)とともにセ・リーグの打点1位を分け合っているヤクルトの村上宗隆('17年1位)がこういう打ち方をする。

 本番でどうだったかというと、1番でスタメン出場した藤原は9回の内野安打のみ、一方3番を任された山下も7回に放った右前打だけと寂しかった。

 だが、藤原の内野安打のときの一塁到達タイムは俊足と認められる4.06秒で、さらに2番打者の2球目に二盗を成功、このときの二盗に要したタイムも俊足と認められる3.28秒。3球目には三盗も成功。山下のセンターフライで生還している。

 バッティングで結果が出なければ守備と走塁でカバーするというのが、走攻守の三拍子が高いレベルで揃っている藤原の最大の魅力だろう。

小園ら積極的な打撃が目立ったウエスタン。

 試合前の姿にもう1つ注目していたが先攻のウエスタン・リーグの面々だ。

 小園海斗(広島、'18年1位)、根尾昂(中日、'18年1位)、中川圭太(オリックス、'18年7位)、三森大貴(ソフトバンク、'16年4位)などが、満面の笑みをたたえながら実に楽しそうにダグアウトの中でバットを操っていたのだ。この野球を楽しむ姿はバットを積極的に振っていく姿に重なっている。

 1回表、ウエスタン1番の小園が4球目の高めストレート(146キロ)を投手寄りのポイントで上から叩くと、打球はライナーでライトポール際に飛び込む先頭打者ホームランになった。

 この回、ウエスタンの打者たちはイースタンの先発・吉田輝星(日本ハム、'18年1位)が投じた18球のうちストライクを見逃がしたのは3球だけ。試合全体で見れば、ストライクの見逃し率はウエスタンの12パーセント台に対し、イースタンは18パーセント台だった(小関調査)。三振の内容で見ていくと、ウエスタンの見逃しの三振はゼロ(10三振のうち)。

 それに対してイースタンの見逃しの三振は2個(13三振のうち)。ウエスタンの5対1という大差の陰にはウエスタン各打者の積極的な「打ちに行く」姿勢があった。

【次ページ】 見逃しが多い藤原が少し気になる。

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