スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ロンドン興行とブルペンの崩壊。
田中将大も苦戦、本塁打時代の闇。
posted2019/07/06 11:45
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
6月末のロンドン・シリーズが終わった。史上初の大リーグ欧州興行に期待が高まったのか、ロンドン・スタジアムを急改造した球場は、6万人に近い観客でふくれ上がった。カードも、伝統のレッドソックス対ヤンキース2連戦。ただし……。
ご承知のとおり、結果は「とんでもなく」大味なものだった。ヤンキース2連勝はともかく、両チーム合わせて2試合で50得点(第1戦が17対13で、第2戦が12対8)。近ごろでは2009年の8月21~22日の同カードで、両軍合わせて46得点(20対11と1対14)という例があったが、それすら上回る「スラッグフェスト(長打祭り)」だ。
パンチョ伊東さんがご存命だったら、「乱打乱撃、その極に達しましたねえ」とお得意のフレーズを口にしていたのではないか。
田中もポーセロも1回を投げ切れず。
となると、眼が行くのは投手の受難劇だ。第1戦に先発したリック・ポーセロ(レッドソックス)と田中将大(ヤンキース)は、ともに1回を投げ切れず、6失点で降板した。そして、そのあとにつづいた救援投手も、多少の例外を除いて惨劇に見舞われる。
レッドソックスのマイク・シャワリンは、1回3分の1を投げて自責点8。ヤンキースのトミー・ケインリーは1安打、2四球を与え、アウトをひとつも取れずに自責点2。
レッドソックスのマーカス・ウォールデンも初戦こそ1イニングを無難に切り抜けたものの、第2戦では、打者4人に対して被安打3、与四球1の自責点4。これまたアウトをひとつも取れずにノックアウトされてしまった。
無事に出番をこなしたのは、ヤンキースでは、アダム・オッタヴィーノ(2試合で1回3分の2を自責点0)、ザック・ブリトン(2試合で1回を自責点0)、アロルディス・チャップマン(2試合で2回を自責点0)の3人。そしてレッドソックスでは、コルテン・ブルワー(2試合で1回3分の1を自責点0)ぐらいしか思い当たらない。
それにしても今季は、ブルペン投手の急激な衰退が目立つ。それも、つい2年ほど前までアンタッチャブルと呼ばれた剛腕が、防御率4点台、5点台で呻吟している。