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菊池雄星が語る“100球”の理由。
「球数を投げる時期は20代半ば」

posted2019/07/05 11:50

 
菊池雄星が語る“100球”の理由。「球数を投げる時期は20代半ば」<Number Web> photograph by AFLO

今では球界屈指の進歩派である菊池雄星だが、高校時代はやはり甲子園こそすべてだと思ったという。

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菊池雄星

菊池雄星Yusei Kikuchi

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 アメリカに来てから、チームのコーチと「日本の投げ込み」について話し合ったことがあります。

 たとえば日本では、200~300球の投げ込みをしますよね。

 高校生やプロの春季キャンプなどでも、投げ込みや走り込みをして「ここで投げ込んだ(走り込んだ)量が秋に繋がるんだ」と言われることが多いです。その話をした時に、マリナーズのコーチからこんなことを言われました。

「トレーニングは、積み重ねないとダメなんだ。『今日3キロのステーキを食べろ、このステーキが秋の成績に関係するんだ』と言われたら、信じないだろ? 1日200球の投げ込みはそれと同じことだ。トレーニングというのは毎日少しずつ刺激を入れ続けることが大事であって、ピッチングも少しずつ投げることが大切なんだ」

 ものすごく腑に落ちる説明で、その通りだなと思いました。

100球で区切る、身体的な理由。

 最近では高校野球でも、登板過多や球数制限導入の問題が議論される機会が増えましたが、アメリカに来てから改めて考えることも多いです。

 ご存知の方も多いと思いますが、アメリカの先発投手は100球くらいをメドに交代します。この「100球」という制限は、僕にとっても納得できる部分が多くあります。

 というのも、100球と120球では試合後の疲労感が大きく違うからです。

 もちろん暑さや他の条件もありますが、僕の場合は炎天下での120球を超えたあたりから“体力じゃない部分”を使っている感じがするんです。気力で投げていて、身体的にいうと「ヤバイ状態」。筋肉の繊維も傷ついてきて、体の張りが出てくる。ですから、「100球」という目安は自分に合っていると感じます。

 球数を「100球」で区切る理由は、トレーニングを例にすると少し理解してもらえるかもしれません。

 筋肉の瞬発力を向上させるためのトレーニングの1つに「プライオメトリック・トレーニング」というのがあります。具体的にはジャンプスクワットやジャンプ腕立て伏せ、重いボールを床に叩きつけるようなトレーニングで、速さと力強さが身につきます。

 このトレーニングの注意点として、全ての動作は「100回程度以内で行う」というものがあります。

 ではなぜ100回程度なのかというと、それを超えると筋繊維の破壊や疲労などの要因で極端にスピードが落ちるからです。全力で動けなくなり、速さが保てなくなるんです。

【次ページ】 トレーニングすら100回なら、実戦は。

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