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躍進する欧州勢、五輪まで1年……。
なでしこ強化に必要なスピード感。 

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日々野真理

日々野真理Mari Hibino

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photograph byGetty Images

posted2019/07/04 11:40

躍進する欧州勢、五輪まで1年……。なでしこ強化に必要なスピード感。<Number Web> photograph by Getty Images

リヨンで同僚のオランダ代表・ファンデサンデン(左)に励まされる熊谷紗希。主将として臨んだ初のW杯は悔しい結果に終わった。

リーダーとしての成長が期待される岩渕。

「みなさん、ありがとうございました」

 取材陣が集まるエリアを通り過ぎる際、岩渕は取材陣に向けて静かに言葉をかけ、スタジアムを後にした。その背中には悔しさが溢れていた。10代でW杯優勝を経験し、連覇をかけたカナダ大会では苦しみながら勝ち進んできた先輩たちの姿を見てきただけに、この大会にかける思いは人一倍だった。

「これまでは先輩たちが引っ張ってくれたから。ここからは自分たちがやらなくちゃ」と繰り返し、自らへも責任を課す言葉を口にし続けた。今大会の彼女は、ピッチ外でもこれまでとは明らかに違う振る舞いをして見せ、グループステージ初戦以外はすべてスタメン出場。1ゴール1アシストとピッチ内での存在感を示した。周りの選手にも積極的に声をかけ、アドバイスを送る姿は、頼もしくもあった。

 今後は、更にリーダーとしての存在感を発揮してくれることを期待したい。

開幕直前のケガで出遅れた籾木。

 もう1人悔しさをあらわにしたのは、わずか1試合、途中からの出場のみとなってしまった籾木結花だ。

 アルゼンチン戦前の6月7日のこと。練習中に左もも裏を痛め、自らグラウンドを出て治療を要求した。グループステージの間は「自分が落ち込んだらチームの迷惑になる。やれることをやっていきたい」と日々リハビリに励んだ。復帰して早々にオランダ戦で途中投入された籾木は、短い時間の中で試合の流れを変える力を持っていることを証明してみせた。

 しかし、勝利を手繰り寄せるには至らなかった。試合後には、涙を流しながら決意を語った。

「今まで積み上げてきてくれたなでしこの歴史をここで壊してしまわないように、ここで負けてしまったことを次につなげ、来年の五輪や、4年後のW杯で必ず世界一に戻れるようにもっと練習したい。私たちには、4年後また勝たなければいけない使命がある。

 世界の女子サッカーが力を入れて盛り上がりを見せている中で、日本ももっと自分たちが女子サッカーを盛り上げていかなくてはいけないなと思います。(先輩たちが)世界一になったという歴史を、ただの歴史にするのではなく、自分たちがチャンピオンであり続けることに意味があるし、それがなでしこだと思うので、そこに返り咲けるようにまた一から努力したいと思います」

 籾木自身、初めてのW杯でやり残したことが多いだけに、今後にかける思いは人一倍募ったはずだ。

【次ページ】 「強くなってこの舞台に」(熊谷)

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