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躍進する欧州勢、五輪まで1年……。
なでしこ強化に必要なスピード感。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byGetty Images
posted2019/07/04 11:40
リヨンで同僚のオランダ代表・ファンデサンデン(左)に励まされる熊谷紗希。主将として臨んだ初のW杯は悔しい結果に終わった。
「強くなってこの舞台に」(熊谷)
今大会を経て、間違いなく財産になったと言えるのは、W杯という舞台で感じた選手たちの中に強く残る「悔しさ」に他ならない。彼女たちは皆、「今度こそ世界の舞台で勝ちたい」という思いをより強くして帰国した。
次の世界での舞台は、来年の東京五輪。時間はあと1年しかない。そのうち代表で活動出来る日数は、さらに限られてくる。
さらに大会を通じて明確になったのは、世界の女子サッカーのレベルは確実に上がっている、ということだ。特に欧州勢の進化が目立ち、中でも、リーグに力を入れて取り組みを行っているイングランド、イタリア、スペインなどの躍進には目を見張るものがある。
なでしこジャパンがより高い次元に歩みを進めるためには、個々の強化はもちろん、どのようにチームを作っていくのか、そして日本サッカー界全体が組織としてどう強化を加えていくのか、そのスピード感も重要なカギを握ることになるだろう。
「こんなキャプテンだけど、ついてきてくれて感謝します。強くなってこの舞台に戻ってきたい」と、キャプテンの熊谷紗希は、最後の夜に行われたミーティングで選手たちに言葉をかけた。
これまで先輩たちが築きあげてきた歴史を引き継ぐことを大切にしながらも、ここからの未来は、自分たちが作り上げる新たな“なでしこらしさ”というものを見せてほしい。
再び世界を魅了するために――。