松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
修造、感動!ボッチャ廣瀬隆喜は
審判の母、チームと共に戦い続ける。
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/07/08 07:00
左から母・喜美江さん、アナリストの渋谷さん、廣瀬さん、マネジメントの三浦さん、そして修造さん。修造さんも「チーム廣瀬」の一員のようだ。
「もぐもぐタイム」がボッチャにもある!
松岡「普段の食生活から改善している、ということなのですか?」
廣瀬「そうです。実は……サポートに入ってもらう前は、朝も食べたり、食べなかったり(笑)」
松岡「意識が変わったんですね。食事を試合中に取ることもできるんですか」
廣瀬「エンドとエンドの合間の1分間に、コーチに相談できる時間があるんですけど、そこで簡単な補食は可能です」
松岡「カーリングでいう『もぐもぐタイム』がボッチャにもあるんですね」
廣瀬「でも、実際にはそこで選手同士も話し合いをするし、コーチと映像を見ながら戦術を練ったりもする。だから、食べられたとしてもチョコレートくらい。自分たちはドリンクも栓を開けてぱっと飲んで、ということができないので、1分は短いです」
松岡「そうか。そういうハンデもあるんですね。でも、こうしてずっと話を聞かせて頂いているけど、相手の話が理解しづらいとか、そういったハンデはまったく感じられないです」
廣瀬「でも、多少はあるんです。言われたことに対してすぐに理解できることもあれば、できないこともあって。自分で考えてわからないときは相談しに行きます」
松岡「僕もそんなのはしょっちゅうですよ。理解しづらいことって例えばどんなことですか」
廣瀬「戦術とかで、この技術がどう必要なのかとか」
松岡「それは僕だって理解できないです」
渋谷「僕たちも極力、専門用語をなくして話すようにはしてるんですけど、どうしても人間だから忘れちゃう。そこの個人差が強かったりする場合もあるので、みんなで話したことはメモにしたり、文字で共有するようにしています」
松岡「なるほどね。もう1つ、素朴な疑問を聞いて良いですか。なんであんなにタイは強いんですか」
日本最大のライバルはタイ。
ボッチャはヨーロッパで考案されたスポーツだが、近年はアジア勢の躍進がめざましい。中でも最強と呼ばれるのがタイで、リオパラリンピックでは7種目のほとんどでメダルを獲っており、団体の金メダルも獲得した。ボッチャの日本代表チーム=火ノ玉ジャパン最大のライバルがタイである。
廣瀬「タイは技術もあって、戦術も優れていて、ボールの置き方もすごく上手い。こちらが試合を上手く進めているように思えて、最後でひっくり返されることもよくあります。聞いたのは、タイは元々、ペタンク(フランス発祥の球技でボッチャの原型となったスポーツ)が盛んなお国柄で、街中にそれができる公園があるんです。タイの選手は本当に楽しそうに競技をやってます」
松岡「国王が好きなのかな……。日本は?」
廣瀬「まだ気軽に楽しめる状況ではないですね。練習場所も限られていたり、こういったコートが常設されている体育館は少ないので。タイの選手は何カ月単位で合宿をしているという話も聞いたことがあります」