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チケット高騰、観客4640人の日も。
コパで見る南米サッカーの経済格差。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2019/06/25 07:00
コパ・アメリカの開幕戦、ブラジル対ボリビアの選手入場シーン。モルンビースタジアムは空席が目立った。
3強以外は低調、背景には経済格差?
グループステージの3試合を終え、4万人の観衆を数えたのはブラジルの3試合とアルゼンチンがグループステージの突破をかけたカタール戦の4試合のみ。メッシ擁するアルゼンチン戦とウルグアイとの国境近くのポルトアレグレで行われたウルグアイ対日本戦はいずれも3万5000人を超える観衆を集めているが、南米3強以外の試合は低調な数字が続いている。
22日にベロオリゾンテで行われたベネズエラ対ボリビア戦は今大会最少となる4640人の観客が見守ったのみだった。
欧州最強のナショナルチームを決定するEUROではあり得ない光景が見られるコパ・アメリカではあるが、背景にあるのは南米における経済格差である。現在の南米で経済的に余裕があるのはチリやコロンビアのみで、ベネズエラやボリビアなどの市民が遠路はるばるブラジルまで試合を見に来るのは厳しい状況なのだ。
「コパ・アメリカとワールドカップは別物だ」
ブラジルやアルゼンチンが登場する試合を除けば、空席が目立つ今回のコパ・アメリカ。あくまでもグループステージ第1節だけの比較ではあるが今大会でのスタジアム収容率は41.7%、アルゼンチンで行われた2011年大会が83%、'15年のチリ大会が75%、そして'16年にアメリカで開催された「コパアメリカ・センテナーリオ」が57%だったことを考えれば、やはりサッカー王国の盛り上がりのなさは明らかだ。
もっとも、ブラジル国内のジャーナリストは冷静だ。パウロ・ヴィニシウス・コエーリョ氏は「ブラジルがコパ・アメリカに関心を持っていたことはこれまでに一度もない。コパ・アメリカとワールドカップは別物だ」と言い切っている。