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チケット高騰、観客4640人の日も。
コパで見る南米サッカーの経済格差。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2019/06/25 07:00
コパ・アメリカの開幕戦、ブラジル対ボリビアの選手入場シーン。モルンビースタジアムは空席が目立った。
ドミンゲス会長は“成功”を強調。
南米諸国の経済的苦境と、高額なチケット代によって興行的には苦戦が続くコパ・アメリカ。ブラジルがペルーに5-0で圧勝し、グループステージの1位通過を決めたサンパウロ市内のイタケロンスタジアムは4連休中の土曜日ということもあって、4万2317人のサポーターが来場。開幕戦の盛り上がりのなさとは一転して、王国らしい熱気にスタジアムは包まれた。
会場に姿を見せた南米サッカー連盟のアレハンドロ・ドミンゲス会長は「ここまで大会は素晴らしい成功を見せている。'15年のチリ大会より観客動員数は15%も増している」と胸を張った。
試合終了間際の横断幕。
そんなドミンゲス会長も見守ったブラジル対ペルー戦。ゴールラッシュを締めくくる5点目のゴールが生まれた直後、カナリアイエローに染まるゴール裏のサポーターが遂に怒りの声を示したのだ。
「Ingresso = Facada(チケット=ぼったくり)、Estadio = Velorio(スタジアム=お通夜)」
こんなメッセージが書かれた黄色い横断幕を一部のサポーターが発煙筒とともに掲げて抗議。横断幕は、スタジアムの警備員によって10秒ほどで撤収させられたもののサッカー王国の民が感じている声を代弁したものだったと言えるだろう。
好カードが目白押しになる決勝トーナメントだが、決勝の舞台は聖地マラカナンスタジアム。ちなみに、チケット代は最も安いものが7300円で、最高額は2万5000円という開幕戦を上回る強気の値段設定だ。
優勝候補が順当に駒を進めている準々決勝。それでも、一部のスタジアムには「お通夜」の懸念が残っている。