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長友佑都のファットアダプト食事法。
「脂をエネルギーに変えてます」
text by
NumberDo編集部Number Do
photograph byShinji Minegishi
posted2019/06/21 12:00
トルコ・イスタンブールの自宅リビングで肉・魚・野菜をたっぷりと食べる長友佑都。
筋肉系の怪我が激減した「良質の脂」。
加藤は、インテル時代はミラノに、現在はイスタンブールに在住し、シーズン中は長友の食事を全面的にサポートしている。
「2016年からの丸3年で専属シェフとして気をつけていたのは、筋肉系の怪我を防止すること。そのために取り組んだのが良質の脂を摂ることです。特に自然界でとれる脂にこだわりました。
いわし、あじ、さばなどの青魚、スズキ、タイ、ヒラメなどの白身魚、マグロ、カツオなどの赤身。お肉であれば、なるべく家畜の飼育環境が整っている牛肉や鶏肉、豚肉をとる。良質な脂質とタンパク質を摂ることによって、細胞を蘇らせ、血流改善をしてよりよい細胞を全身に送り込める体に切り替える。そうすることで、硬直しづらい、しなやかな筋肉を作るわけです」
長友自身もその効果を肌で感じている。
「筋肉系の怪我は激減しているし、試合終盤での息切れが減って、持久力も向上しました。と同時に、日々の思考もクリアになっていると思います」
糖質の摂り方も、いろいろな考え方がある。
ここに至るまでは、様々な試行錯誤があった。長友が加藤と食への取り組みを始めた頃は、糖質を極端にカットしたケトジェニック生活を送っており、ちょっとしたエネルギー不足や瞬発系のパワー不足に加え、メンタル的にもストレスを感じることもあったという。
そこで、加藤シェフは血糖値を上げない程度に炭水化物の摂取量を少しずつ増やす食事を提案した。毎食ごとに食前と食後血糖値を測りながら、自らの体を実験台のようにして最適値を探る中で、またもや新たな出会いが生まれた。
長友のストイックすぎるともいえる糖質制限の食事法を知った北里研究所病院の糖尿病センター長である山田悟医師からシェフの加藤に連絡があったのだ。
「山田先生には、ケトジェニックほど飢餓状態にしなくても、脂をエネルギーとして燃やす方法はあるんですよということや、糖質の摂り方についても、もう少しいろいろな考え方があるんですよということを教えていただきました」
早速、山田医師に提案してもらった方法を実践していくと、みるみる効果が出てきた。
こうしたプロセスを経て完成したのが「ファットアダプト食事法」である。
脂質やタンパク質を積極的に摂って、脂肪をエネルギーとして効率的に使える体質に改善する。
いわば脂を摂ることによって体中の脂肪を燃やしやすくするようなイメージだ。