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コパ初戦のチリはDFの速さが不足?
中島翔哉、久保建英なら攻略は可能。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2019/06/17 11:45

コパ初戦のチリはDFの速さが不足?中島翔哉、久保建英なら攻略は可能。<Number Web> photograph by Getty Images

サンチェス、ビダルというワールドクラスは脅威だ。ただそれとともにチリ最終ラインの面々は不安を残している。

ビエルサが持ち込んだ超積極性。

 守備も、相手の出方を待つのではなく、自分たちからアクションを起こす。攻守両面で極めて大胆かつ攻撃的な戦い方であり、見ていて爽快感すら覚えるが、対戦相手は底知れぬ恐怖を感じるのではないか。

 2007年に監督に就任したアルゼンチン人の名将マルセロ・ビエルサがこの戦術を植え付け、3大会ぶりに南米予選を突破して出場した2010年ワールドカップ(W杯)で16強入りを果たした。

 2012年末に就任したやはりアルゼンチン人のホルヘ・サンパオリ監督(ビエルサの熱烈な信奉者として知られる)がさらにインテンシティ(プレー強度)を高め、2015年に自国開催の南米選手権で悲願の初優勝を果たした。

 2014年W杯南米予選を3位で突破すると、W杯では前大会王者のスペインをGSで撃破して世界を驚かせた。決勝トーナメント1回戦(ベスト16)で地元ブラジルと互角に渡り合いながらPK戦で涙を飲んだが、実に見事な戦いぶりだった。

サンパオリ辞任後、W杯出場ならず。

 しかし、2016年1月にサンパオリがチリサッカー協会との軋轢から辞任すると、風向きが変わる。後任にこれまたアルゼンチン人のフアン・アントニオ・ピッツィが就任し、この年の南米選手権創設100周年記念大会を制覇したものの、2018年W杯南米予選ではチームが高齢化したため攻守の切り替えが遅くなり、プレーの強度も目に見えて低下した。

 終盤の重要な試合で中堅国相手に勝ち点を落とし、参加10カ国中6位にとどまってW杯出場を逃した。この結果は、国民に深い失望を与えた。

 現在の監督は、昨年1月に就任したコロンビア人のルエダ。過去、コロンビア、ホンジュラス、エクアドルの代表を歴任してW杯2大会で指揮を執っており、母国の強豪クラブを率いてクラブ南米王者となった実績を持つ。

「今大会の優勝候補はブラジルとウルグアイ」と明言しており、グループの中でウルグアイが最強と考えているのは明らか。日本代表については、「スピードがあり、攻守の切り替えが速く、監督が指示する戦術を選手全員が忠実に守る」と語っている。

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