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タブチくんと慎ちゃんの勲章。
~緻密で冷徹、とは違う捕手像~
posted2019/06/17 07:30
![タブチくんと慎ちゃんの勲章。~緻密で冷徹、とは違う捕手像~<Number Web> photograph by KYODO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/a/1500wm/img_6a11d6be334f10d314ba811efe94c3d5408641.jpg)
プロ野球史上19人目となる400号に到達した阿部。原巨人の精神的支柱を担っている。
text by
![鷲田康](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
昭和の人気漫画、いしいひさいちの「がんばれ!!タブチくん!!」は、天真爛漫でドジなタブチくんとケチなヤスダくん、冷徹非道なヒロオカ監督ら登場人物のドタバタ騒動が基本パターンだった。
この漫画が受けた背景には、緻密で冷徹という昭和の捕手像がある。現役時代は生涯一捕手を貫いた野村克也元ヤクルト監督や巨人V9の頭脳と言われ後に西武の黄金時代を築いた森祗晶元監督ら、昭和の名捕手はみんなそうだった。野村監督の薫陶を受けたヤクルト・古田敦也さんも、この流れをくむタイプである。
一方「がんばれタブチくん」のモデルとなったのはドラフト1位で阪神に入団し、巨人・王貞治の連続本塁打王にストップをかけた田淵幸一さんである。天才打者だった田淵さんは捕手でありながら、捕手らしくない天然キャラクター。実際に1979年に阪神から西武に移籍すると、3年後には広岡達朗さんが西武監督に就任して漫画を地でいくような事態も起こった。そんなタブチくんのキャラクターと人の良さが、高度成長からバブルへと向かう管理社会へのアイロニーとなったのが、大ヒットの一つの要因だったわけだ。
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