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渡辺皓太、J2からコパに参戦。
東京V育ちの“豆タンク”が世界へ。
posted2019/06/16 12:00
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
Getty Images
5月24日、練習を終えてクラブハウスに引き上げる渡辺皓太に、竹本一彦ゼネラルマネージャーから「皓太、入ったぞ」の声。6月14日からブラジルで開幕するコパアメリカ、その日本代表に選出された報せだった。
「うれしかったです。数日前、ラージグループに入っていることは知らされていたんですが、最終的に選ばれるかわからなかったので」(渡辺)
東京ヴェルディからA代表が選出されるのは、2008年の大黒将志以来。しかも、東京Vのサッカースクールに4歳から通い始めた、生え抜き中の生え抜きである。
大嶋が唸った小学4年生のプレー。
その日、渡辺の携帯には多くの祝電が入った。選手たちから「ごっついさん」の呼び名で親しまれる、大嶋康二も送り主のひとりだ。
大嶋は、自身も育った東京Vのアカデミーで指導者としてのキャリアを歩み始め、世田谷区で活動するFCトッカーノを経て、今年4月に小学生を対象とするサッカースクール、DURO調布SCを設立。ジュニア、ジュニアユース年代のエキスパートである。
渡辺が小4で東京Vジュニアに加入し、最初に出会った監督が大嶋だった。
「あの頃はいいように遊ばれていましたね。自分ら子ども相手にけっこうガチで、本気のスライディングをしてきたり」と、渡辺は当時を回想する。
大嶋は早くから渡辺の能力に着眼し、東京Vジュニアが出場する全日本少年サッカー大会に、渡辺をすぐさまメンバー入りさせている。
「2学年上のチームに放り込むのは珍しかったと思います。身体はひと際小さかったですが、あいつ、試合に出したときは点を取りましたよ。たしか中盤の前目、フォワードに近い位置で使ったのかな」
目を引いたのは、その敏捷性だ。攻守の切り替えの際、真っ先に動ける反応のよさ、プレーの一手先、二手先を読んですっと動ける予測力もあった。
「ただ、俊敏なだけではないんです。一つひとつの動きに、きちんとサッカー観が備わっていました。おお、サッカーわかってんなと唸らされる小学4年生。賢く、素早く動けて、さらに運動量も豊富にあった」