ピッチに入ると豹変する渡辺。

　渡辺の言う「いいように遊ばれていた」という言葉は、ピッチ外も含めてのことだろう。何かにつけてコーチ連中から構われ、おちょくられ、そんなときの渡辺は決まって困り顔をしながらじっと見つめ返してきたという。

「小さくてかわいいものだから、放っておけない感じと言いますか、ちょっかいを出したくなる雰囲気があったんですね。そのせいで、大人たちから寄ってたかってイジられていました。

　ところが、ピッチに入ると一変。サッカーでは自分をはっきりと主張し、強烈に存在感を示せる」

　やがてプロの世界に入り、トップレベルまで到達する予兆らしきものはあったのだろうか。

代表選手には「運が絶対に必要」。

「いや、そこまでは。将来的にサイズが飛躍的に大きくなることはないだろうと予想し、あとは技術とセンスと持久力でどこまで上にいけるか。今回、J2クラブから唯一入った代表には、選ばれるべくして選ばれた部分もきっとあるだろうと感じます。年代別代表でのパフォーマンスが、監督の森保（一）さんから評価された証。ちゃんと見てもらってたんだな、皓太のよさが伝わっていたんだとホッとしました。

　どれほど優れた選手であれ、代表に入るか入らないかは監督とのめぐり合わせや運の要素が絶対に必要になってきます。

　大きな外国人選手は、あんな豆タンクみたいな選手に懐に入り込まれるとやりづらいと思いますよ。身体の当て方や逃げ方も巧いですから、やり合った相手がどんな顔をするか見ものですね」

　大嶋は愉快そうに言い、渡辺が躍動するだろうブラジルの地に思いを馳せる。

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