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ドイツ5季目を終えた原口元気が語る。
キャリアの夢、日本代表、長谷部さん。 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2019/06/13 12:00

ドイツ5季目を終えた原口元気が語る。キャリアの夢、日本代表、長谷部さん。<Number Web> photograph by Getty Images

激動のシーズンを終えた原口元気。来季に向けたモチベーションはすでに高い。

「全部捨てた拓磨も見たかった」

 自身の経験を踏まえて、チームメイトにも厳しい視線を送る。その対象に慈しみがあるからこそ、あえて提言して、その選手の自覚を促そうともしている。

「ハノーファーではチームメイトに(浅野)拓磨がいた。彼のポテンシャルは間違いなく高い。日本人離れしたスピードを持っていることは誰もが分かる。だからこそ、彼の使い方を、彼自身が周囲にもっと理解させる必要があったかな。拓磨は性格が優しくて、真面目だし、好青年だよ。でも、それを全部捨てた拓磨も見たかった。

 拓磨もハノーファーでは様々なポジションで起用されたけど、彼の良さは僕とは異なる部分にあると思う。僕とは違ってスペシャルな能力で勝負する選手。だからもっと、監督に言うべきだったと思う。『一番前のポジションで出たい』って。味方にも相手が引かれるくらい要求すべきだった。

 拓磨とはいろいろな話をして、彼自身も変わろうとしている。人の心って意外に分からないもの。だから相手の気持ちを知ることも大事。それってドイツに限らず、日本でも同じことだと思うけどね」

「一番大事なのは必死にやること」

 表向きの態度と本心が異なることはよくある。直談判しても、思いを受け入れてくれないこともある。それでも意思ははっきりと示す。それで誤解が解ければ、双方が納得できる。

「面白いのは、パル・ダルダイ(ヘルタ・ベルリン監督)にしろ、ハリルさん(ヴァイッド・ハリルホジッチ)にしろ、ブライテンライター(ハノーファー前監督)にしろ、自分が要望したことに対して、その場ではイエスと言わない。『よし、分かった』なんて絶対に言わない(笑)。

 でも結局、次の練習、次の試合で自分が要望したポジションでプレーさせてもらえることがある。自分もわざわざ聞きに行くのは好きじゃないし、なるべく監督とは距離を取っておきたいタイプだけど、そこは譲れない部分があるから積極的にコミュニケーションを図ってきた。

 やっぱり、人の気持ちを動かすのは大変なこと。いろいろなことを経験した中で、一番大事なのは必死にやることなんだって思った。物事に必死に取り組んでいる選手を嫌う監督はいないと思うから。つねに一回、一回、一日、一日(必死にやる)。それは当たり前のことで、でも難しいことで。その葛藤の中で生きている」

【次ページ】 浦和時代と同じ思いを。

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