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ドイツ5季目を終えた原口元気が語る。
キャリアの夢、日本代表、長谷部さん。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/06/13 12:00
激動のシーズンを終えた原口元気。来季に向けたモチベーションはすでに高い。
「日常の戦いが重要」
原口は今年で28歳になった。森保体制の日本代表では中堅に属し、若手から突き上げられる立場でもある。だが本人は、それを脅威には感じていない。むしろ日本サッカーの発展のため、選手個々が強烈な個性を醸し出すことが必要だと力説する。
「若手には、もっと来てほしいなと思っている。日本全体でもっと切磋琢磨していかないと、またワールドカップで勝てないから。僕もこのまま終わるつもりはないしね。
チームとしては良い方向に向かっているかもしれないけど、個人のクオリティはまだまだ世界を圧倒できていないからね。この世界で満足感を抱いている選手は誰もいないと思う。それは僕もそうだから。一人ひとりがトップオブトップで戦って、その23人が集まってチャレンジしないと、ワールドカップで優勝するなんて公言できないでしょ。それは監督どうこうとか、チームどうこうで超えられるものじゃない。
だから代表云々じゃなく、日常の戦いが重要ってこと。より高いレベルで試合に出続ける。それが日本のサッカーを発展させて、確かな成績を残す正しい筋道だと思う」
ブンデスリーガで得た新境地。
日本でプレーしていた時代の原口は常にスペシャリティを求めていた。アタッカーとして、局面で勝負してゴールを奪う。それだけを追い続けた結果、彼自身、そして周囲は原口元気という選手に対してある種の固定観念を抱いたはずだ。
しかしドイツへと渡り、百戦錬磨のブンデスリーガーと熾烈な戦いを繰り広げ、彼は新たな境地を得た。
「今季は様々なポジションでプレーした。これも、ここで生き残るための1つの術だから。どこでもプレーできるからこそ、監督は僕を起用してくれる。一方で、今の僕はアタッカーとして勝負し続けるのはキツイかなという思いもある。今まではサイドで勝負することに拘りがあったけど、それだけではチーム内で信頼を得られないことを悟った。
その結果、今季はブンデスリーガ1部のレベルで複数のポジションをこなしたんです。そんな選手は日本人選手ではあまりいないよね? 長谷部(誠)さんくらいかな?」