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ドイツ5季目を終えた原口元気が語る。
キャリアの夢、日本代表、長谷部さん。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/06/13 12:00
激動のシーズンを終えた原口元気。来季に向けたモチベーションはすでに高い。
浦和時代と同じ思いを。
かつて、浦和に在籍していた時代の原口は闘志を剥き出しにして戦う選手だった。それはドイツに渡っても貫かれているはずだが、傍目に見ると、今はどこか達観した振る舞いが目に付く。だが、それは本人も自覚している。自分らしくないと……。
「昨シーズンは自分のプレーに集中している部分が正直あった。情熱が消えていた? 何とも言えないけど……。来季は自分のプロサッカー人生のハイライトになると思うから、このクラブのために、と思えるような、そんなシーズンにしたい。それが次の殻を破る動機になるかもしれない。
アカデミーで育ってプロとしてもプレーした浦和時代と同じような思いを投影したい。そういうシーズンにできたら、幸せだよね」
W杯は「もう一度チャレンジしたいもん」。
情熱はいつまで携えられるものなのか。
「今の自分のプロサッカー人生は、富士山の登山に例えると五合目くらいかな? 車で行けるところ? いや、五合目までも自力で登ってきたつもりだけどね(笑)。ちょうど折り返し地点。ここからもっと経験できるとも思う。でも、プロとして10年過ごしてきて、その1年、1年で心境も日々変化してきた。
でも、変わらずに抱き続けているのは、常にベストを尽くして登れるところまで登りたいという思いだね。ここが5合目だとしたら、10合目はチャンピオンズリーグ? プレミア? それは分からないけど、自分が目指す目標まで行けたら、ヨーロッパのキャリアに関しては納得がいくかもしれない。
でもワールドカップは別。もう一度チャレンジしたいもん。ベスト8、ベスト4、そして優勝と……。それに40歳までは現役を続けたい。プレーする国は関係なく、1部で試合に出続けたい。また日本でプレーする可能性もあるけど、そのときはリベロでもいいよ(笑)」
彼の心の中で、幾度か降り注いだ雨に太陽の光が射している。ロシアで一度燃え尽きかけた思いを再び奮い立たせた今、原口元気が思い描く将来に、鮮やかに虹がかかっている。