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CL優勝で「クロップ帝国」時代誕生。
リバプールは成長の余地が大きすぎ。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto Press

posted2019/06/10 10:30

CL優勝で「クロップ帝国」時代誕生。リバプールは成長の余地が大きすぎ。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

CL制覇後、リバプールの地に戻ってご機嫌のクロップ監督。リバプールは来シーズン以降も成長を遂げていきそうだ。

無冠状態が続いていたクロップ。

 2016-17、2017-18シーズンと2年連続トップ4を実現したが「無冠」は続き、クロップには「勝者になり切れない監督」という目が向けられるようになっていた。

 就任1年目の2015-16シーズンにリーグカップ決勝に進出したものの、マンチェスター・シティ相手にPK戦の末、3本のシュートを止められて敗戦。同年EL決勝にも駒を進めたものの、前半に先制しながらも後半の3失点でセビージャに逆転優勝を許した。

 昨季のCL決勝も、レアル・マドリーに3点を奪われて涙をのんだ。今季決勝前の段階では、ドルトムント時代から通算して6試合連続となっていたクロップ自身の「決勝敗退歴」に、注目が集まっていた。

 だがクロップは、リバプールの「元首」らしく「4年以内に戴冠」という就任時の公約を守った。本来はリーグ優勝を意識した発言かもしれず、ファンにとってもプレミア優勝こそがたっての願いではあるが、CL優勝という成果は立派だ。実際、今シーズンのリーグ戦はたった1敗のみで2位という成績は、真のプレミアの強豪として復活したと言えるだろう。

前線からGKまで貫かれる“らしさ”。

 4-3-3システムを基本に戦うチームは、紛れもなく「クロップらしいリバプール」だ。

 派手な補強はなく、監督の嗜好に沿った戦力を着実に増やしてきた。現在のチームには、精力的で意欲的なフットボーラーが揃っている。今季、看板の3トップが奪った得点は、サディオ・マネが誘った相手のハンドによるPKをモハメド・サラーが決めたCL決勝での先制点により、合計「69」を数えた。

 中央のロベルト・フィルミーノが巧妙な連係を見せ、左右ではマネの圧倒的な速さ、サラーの鮮やかな個人技が光る。そろってハードワークを貫くFWトリオは、「クロップ流」を体現する最強のフロントラインだ。

 一方、最後尾に控える守護神アリソンは、指揮官が勝利への「非情さ」を秘めている代表例だ。

 クロップは、昨季CL決勝で決定的なミスを犯したロリス・カリウスを気遣い、ベシクタシュへのレンタル移籍で立ち直りの機会を与えつつも、獲得にGKとして世界最高の移籍金を要したアリソンをゴールマウスに置き続けた。

 そのアリソンは今季、プレミア最多となる21試合を無失点で終え、決勝でも8セーブを披露してCL優勝に貢献している。

【次ページ】 ファンダイク、ヘンダーソンの貢献。

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