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長谷部誠が過ごした最高の1年。
クラブと街に愛され、築いた信頼。

posted2019/06/09 12:00

 
長谷部誠が過ごした最高の1年。クラブと街に愛され、築いた信頼。<Number Web> photograph by Getty Images

苦しい台所事情のなか、躍進したチームを支え続けた長谷部誠。来季はフランクフルト在籍6年目のシーズンとなる。

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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 今シーズンのブンデスリーガが終了しました。シーズン序盤はルシアン・ファブレ監督率いるドルトムントがスタートダッシュを決め、「ついにドイツも乱世に突入か?」という盛り上がりを見せたのですが、最終的にはニコ・コバチ監督が指揮するバイエルンが貫禄のリーグ7連覇。DFBポカールとあわせて2冠を達成し、“盟主”の威厳を保つ結果となりました。

 昨年3月にフランクフルトへ居を構えた僕は、初めてシーズンを通してブンデスリーガを取材しました。これまでもスポット的に日本からドイツの各スタジアムへ赴いたことはありましたが、日常的にブンデスリーガと触れ合ってみると、多くの驚きと発見があり、そして喜びや悲哀などの様々な感情に揺り動かされました。

 特に、自身が暮らす街のフランクフルトを身近に感じられたことについては、意義深いという思いがあります。

シーズンの幕開けは、ビールを片手に。

 今季の初取材は2018年8月12日、ドイツ・スーパーカップでした。開催地はフランクフルトのホーム「コンメルツバンク・アレナ」。前シーズンにクラブ史上30年ぶりとなるDFBポカール制覇を果たしたフランクフルトサポーターの熱気は凄まじく、スタジアム周辺にはフェスティバルのような雰囲気が漂っていました。

 スタジアムは、フランクフルト中央駅からドイツ鉄道Sバーンで2駅。最寄り駅の『Stadion』から徒歩10分程度ですが、道中には屋台や居酒屋が軒を連ねていて、誰もが一杯あおっています。ドイツの方が最も好きなお酒はもちろんビール。フランクフルトは日本のビールと味わいが似ているピルスナーの醸造地で、スタジアムの外だと500mlを2ユーロで販売する店もあります。

 みなさん、スタジアム内の高いビールを飲む前に外で喉を潤すのです。シーズン幕開けの時期はサポーターのみなさんにとって再会のときでもあるため、「久しぶり!」とか「元気だった?」なんて挨拶も聞かれます。ビール片手に大声を上げている集団は傍目に見ると怖そうですが、元気溌剌とした女性が混じっていたりして、現在のブンデスリーガの治安の良さがうかがえたりもします。

【次ページ】 「大敗」から始まった今シーズン。

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