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グランパスの何が革新的なのか。
風間サッカーの“翻訳”を試みる。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byKeiichiro Natsume

posted2019/06/07 08:00

グランパスの何が革新的なのか。風間サッカーの“翻訳”を試みる。<Number Web> photograph by Keiichiro Natsume

名古屋就任3年目を迎える風間八宏監督。直近2試合は連敗を喫するも、第14節を終えて、リーグ4位につけている。

「ないものを考えた方がおもしろい」

 筆者の知る限り、こういうサッカーはヨーロッパでも見たことがない。そう伝えると、風間監督に一喝された。

「どこかを真似する気もないし、参考にしようとも思っていません。大事なのは自分の発想。他から勉強しようとしたら、どこにもないものを生み出せなくなる。ないものを考えた方がおもしろいですよね? だから自分の過去からも学ばないんです。自分の過去はすでに“ある”ものだから」

 どこにもないものを生み出したい――。グランパスの試合を見ると、まさにその思いと情熱が伝わって来る。

 まだ枠の外に逃げられて失点したり、そもそも枠をつくるまで至れない時間帯もあり、苦しむ試合もある。13節に松本に0-1、14節に仙台に1-3で負けて2連敗し、一時は2位につけていた順位を4位まで落としてしまった。ジョーがルヴァンカップの神戸戦で負傷し、松本戦前に離脱したことも影響しただろう。

 ただし、「どこにもないもの」が簡単にできるわけがないのだ。

「設計図を用意すれば、そこに選手が当てはまって安定はするでしょう。でも、我々は設計図をつくらない。今は平屋かもしれないけど、気がついたらビルを目指しているかもしれない。ドームになるかもしれない。選手たちはそれだけいろんな可能性を持っているから。過去は関係なく、前へ進み続けていきます」

 訳がわからないものに、人は興味を惹かれやすい。昨季、グランパスは平均観客数のクラブ記録を更新した。今季、さらにそれを更新するだろう。

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