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「J最強の企画屋」は伊達じゃない!
ガンダムを宇宙に飛び立たせるまで。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshio Ninomiya

posted2019/06/06 11:00

「J最強の企画屋」は伊達じゃない!ガンダムを宇宙に飛び立たせるまで。<Number Web> photograph by Toshio Ninomiya

左から金井宣茂さん、ドズル・ザビ……ならぬ室伏広治さん、富野由悠季さん、中須賀真一さん。

「日本人は面白いチャレンジを」と思われたい。

 併行してガンダムを制作する関係各所の許可を得た。開発、コスト、時間の問題はクリアされ、「パラパラ漫画」で協力を得ることができていたことでJAXAからもGOサインが出た。

 そして企画の発信は組織委員会「ONE TEAM PROJECT」の一環として実行することで決定までこぎつけた。実はこの「ONE TEAM PROJECT」発がミソ。「ONE TEAM PROJECT」は日本の誇るクリエーター、イノベーターが東京2020大会を盛り上げる企画をボランタリーに実施するプロジェクト。そのため、JAXA宇宙飛行士、東大の中須賀教授、ガンダム生みの親、富野監督がクリエーター、イノベーターの立ち位置で参加協力することに関して、周囲の理解を得るのが早く、「なるはや」で企画を通すことができたのだった。

 天野はガンダムという圧倒的なコンテンツのパワーを思い知らされることになった。

「ガンダムなら」と多くの人が喜んで協力してくれたからだ。

「まさにガンダムパワーだと思います。今年生誕40周年のメモリアルイヤーというのも大きかったし、協力していただけるみなさんの熱も感じます。海外でも凄く人気だし、凄く愛されています。ガンダムを企画に盛り込むことによって日本が誇るサブカルチャーのアニメを打ち出せる。超小型衛星も日本の技術。そして何よりも『日本人は面白いことにチャレンジする遊び心のある国民なんだな』って思われたい」

組織委員会の人への発破でもある。

 開発中のガンダム、シャア専用ザクにも技術とアイデアが詰まっている。

 サイズはガンプラの144分の1モデルより小さく、耐久性の強い特殊素材で制作される。足元には電光掲示板が設置され、ガンダムから日本にメッセージが発信される工夫も。またザクのモノアイ(目)がオリンピックカラーに変化する仕掛けにも挑戦しているそうだ。

 このオリンピック史上初となる壮大な企画の意義について、天野はこう語る。

「せっかくの東京2020大会なんだから、僕もそうですけど、みんながワクワクするものをやりたかった。理屈抜きに夢やロマンのあること。でも独自性、話題性のあるものをこれまで打ち出せてきたとは言い難い。大きな大会なのでそれはやはりいろんな高いハードルもあって、企画を実現させていくのが簡単じゃないからです。

 生涯幾度とない舞台に夢やロマンを持って組織委員会に入ってきた人も少なくない。だから“天野はこんなことやったのか、じゃあ俺も”となってほしい。東京2020までもう1年しかないけど、まだ1年あるとも言えます。組織委員会の人にも、いい刺激になったらと思うんです」

【次ページ】 「室伏さん、ドズル中将にやっぱりそっくり」

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