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「J最強の企画屋」は伊達じゃない!
ガンダムを宇宙に飛び立たせるまで。
posted2019/06/06 11:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshio Ninomiya
「アムロ、宇宙へ行きま~す!」
5月15日、東京2020組織委員会と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、東京大学の3者が特別コラボする「G-SATELLITE宇宙へ」が発表された。
今なお絶大な人気を誇る「機動戦士ガンダム」のガンダムとシャア専用ザクの模型を、東京大学が開発する超小型衛星の「G-SATELLITE」に搭載して東京2020大会の期間前と期間中に地球周回軌道を飛行しながら地球上に応援メッセージを送るというビッグプランである。
会見には衛星開発の責任者となる中須賀真一(東京大学教授)をはじめ金井宣茂(宇宙飛行士)、富野由悠季(機動戦士ガンダム総監督)、室伏広治(東京2020組織委員会スポーツディレクター)が出席。プロモーション用のアニメにはアムロ・レイ役の古谷徹、シャア・アズナブル役の池田秀一も出演して、何とも豪華な会見になった。
「オリンピック、パラリンピックは地球上のアスリートが東京に結集するスポーツの祭典。ここに宇宙が加わるということで、さらにスケールの大きい東京2020大会になる」
筋金入りのガンダムファンを公言する室伏SDもちょっぴり興奮気味だった。
川崎からやってきた「最強の企画屋」。
この会見を後方からじっと見つめる目があった。
企画の仕掛け人で組織委員会エンゲージメント企画部長を務める天野春果である。川崎フロンターレ時代はスタジアムと宇宙を結ぶ生交信や、競技トラックでのフォーミュラカーショーなどファンの度肝を抜いて「Jリーグ最強の企画屋」と呼ばれた人だ。
2年前に組織委員会に出向してからも人気漫画「宇宙兄弟」とコラボしてISS(国際宇宙ステーション)でパラパラ漫画にチャレンジする応援企画やスポーツの魅力を伝えながら算数を学ぶ「東京2020算数ドリル」などを手掛けてきた。そして「絶対に実現させたかった」のが、このガンダム企画であった。
オリンピック史上初のインパクトあるものをやりたい。それが組織委員会への出向を熱望した一番の理由だった。
宇宙を使って、何かでっかい企画をやる。パラパラ漫画はその布石であったものの、その「何か」が思いつかなかった。