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笑顔なき団体戦準Vは成長の証。
桃田賢斗「このままではダメ」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byAP/AFLO

posted2019/06/03 10:30

笑顔なき団体戦準Vは成長の証。桃田賢斗「このままではダメ」<Number Web> photograph by AP/AFLO

団体戦の世界一を決めるスディルマン杯決勝。桃田賢斗も敗れ、地元・中国相手に1勝もあげられず、準優勝となった。

桃田の相手は中国の新鋭。

 こうして迎えたスディルマン杯。

 桃田はグループリーグ2戦目のタイ戦から出場し、準々決勝のマレーシア戦、準決勝のインドネシア戦と3試合で連続勝利。団体戦での個人の連勝を21まで伸ばして臨んだのが、中国との決勝戦だった。

 桃田の出番が回ってくる前に、日本は第1試合の男子ダブルスで遠藤大由&渡辺勇大組が0-2で敗れ、第2試合の女子シングルスでは山口茜が1-2の逆転負けを喫していた。0-2と後がない状況でコートに立った桃田は、「ペースを上げて攻めていこう」と作戦を練った。

 中国の男子第1シングルスは、'96年生まれの23歳で、世界ランク2位のシー・ユーチーだ。北京五輪とロンドン五輪金メダルのリン・ダン、リオデジャネイロ五輪金メダルのチェン・ロンの後継者として、昨年から大きく台頭した中国の新エースである。

 桃田は初対戦だった昨年4月のアジア選手権で2-1の勝利を収めると、同8月の世界選手権と同9月の中国オープンでは相手をまったく寄せ付けず、2-0と完勝している。だが、同12月のワールドツアーファイナルズでは逆に一方的な内容で桃田が0-2と完敗。そして、今年4月のアジア選手権では桃田が2-1で勝っていた。

ホームで勢いに乗るシー・ユーチー。

 今回は地の利もある相手がまさった。

 桃田は、1ゲーム目を21-15で先取したが、第1シードチームの世界トップランカーとして受けてきたプレッシャーからか、スタミナを消耗していた。

 ホームの声援を背に受け、国の威信を懸けてとばかりにプッシュしてくる相手に対して、守勢に回ることが多くなり、第2ゲームは強烈なスマッシュを何度も浴びた。得意のヘアピンで活路を見いだそうとするも、これもコントロールがうまくいかずに失うと、最終の第3ゲームでは11連続失点など集中力までそがれてしまった。

 桃田は帰国後の会見で、このように課題を挙げた。

「決勝戦という大事な試合で守備に回ってしまい、攻撃に回るチャンスを作れなかった。(シー・ユーチーは)身長が高く、攻撃力が高い選手。個人戦(4月のアジア選手権)ではスムーズに動けたのですが、団体戦の緊張感があるときや力んでしまったときでも、もっとスピードアップしていきたい。パワーをつけたい」

 そして、「決勝で、ここ一番での中国選手の強さを知りました。このままではダメだと思いました」と悔しさをあらわにした。

【次ページ】 コーチも主将も感じ取る成長。

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