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笑顔なき団体戦準Vは成長の証。
桃田賢斗「このままではダメ」
posted2019/06/03 10:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AP/AFLO
初のメダル獲得に喜びが沸いた4年前とは違い、笑顔のない準優勝だった。中国の壁は厚かったが、誰もが浮かべた悔しい表情は、日本の立ち位置がこの4年間で明らかに変わったことを示すものだった。
バドミントンの団体世界一を決める男女混合の国・地域別対抗団体戦「スディルマン杯」が5月19日から26日まで中国・南寧で行なわれた。
男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)と女子ダブルスの永原和可那&松本麻佑組(北都銀行)と、2種目で世界ランク1位プレーヤーを擁する日本は、参加16度目にして初めて第1シード国として出場。グループリーグから順調に勝ち進み、2015年以来、2大会ぶりの決勝進出を果たしたが、中国との決勝で0-3の完敗を喫し、またしても準優勝にとどまった。中国が11度目の優勝を飾った。
団体戦では無敗だった桃田。
大会前、エースの桃田は日本に新たな歴史を刻もうと、燃えていた。
「第1シードで出場できるのは名誉なこと。凄いことだと思っています。ランキングというのは積み上げてのものですし、メンバーを見ても最有力だと思う。自分が大事なところで勝つことができれば、優勝も可能だと思っています」
桃田には、団体戦に於ける図抜けた強さという武器もあった。
シニアの団体戦初出場となった'14年トマス杯で出場した5試合すべてに勝利して日本の初優勝に大きく貢献すると、同年秋の仁川アジア大会では、韓国との準々決勝でイ・ドンクンに2-1で勝利。'15年にはスディルマン杯で出場3試合に全勝した。出場停止を経て、再びA代表に戻った'18年からは第1シングルスの地位を不動のものとし、トマス杯で6戦全勝。アジア大会でも3試合を戦って全勝している。
ただ、団体戦で過去無敗ということについては「意識したことはなかった」と、あくまで自然体でスディルマン杯に向かっていた。
「いずれ負けるときは来ると思います。無敗のまま終わりたいと思うと、(シャトルを)置きにいったり、保守的になってしまうので、いつか負けるというくらいの気持ちでやりたい。自分がもし負けたとしても、他の人たちがカバーしてくれるのが団体戦の良さ。最初から全開で、出し惜しみなくいけたらいい」(桃田)