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バティスタは“助っ人外国人”と違う!?
広島がじっくり育んだ和風ドミニカン。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2019/05/27 12:10

バティスタは“助っ人外国人”と違う!?広島がじっくり育んだ和風ドミニカン。<Number Web> photograph by Kyodo News

好調の広島を象徴する3番バティスタ。4番の活躍を引き出しているのも、彼の存在かもしれない。

来日当初は“扇風機”だった。

 本人は自信満々だが、来日した4年前には、“2年連続MVP”が務めていた打順を任せられるとは、誰も思いもしなかったに違いない。

 来日当初は粗削りという言葉がピタリと当てはまるような打者だった。パワーは当時から図抜けており、はまったときの飛距離は周囲を驚かせた。ただ、確実性がなかった。試合に出れば“扇風機”と化していた。

 典型的なローボールヒッターで、極端なアッパースイングが原因だった。低めの甘い球なら捉えられる。ただ、低めのストライクゾーンからボールになる変化球にはバットが空を切り、高めの球はからっきし。育成選手として初めて日本のリーグ(ウエスタン・リーグ)に参加した'16年シーズンは68試合(150打席)出場で打率2割4分3厘の低打率で、本塁打も6本、19打点に終わった。

朝山コーチが施した改革。

 練習生時代からバティスタの打撃を見てきた朝山東洋二軍打撃コーチは大胆な策で意識改革を行った。

「ストライクゾーンでも低めは見逃していい。高めは首付近まで振っても構わない」

 日本での成功を目指す若きドミニカンは、目の前の結果を求め大振りが目立つ。それではいけない。意識から変えなければ悪癖は改善されない。あくまでも中長期的な視野でコツコツと言い聞かせた。

 意識改革は普段の練習からたたき込んだ。ドミニカに似た日差し降り注ぐ二軍の由宇練習場には「ハチャ!」「ハチャ!」と叫ぶ朝山コーチの声が飛んだ。

「ハチャ」とはスペイン語で「斧」を意味する。「バットを振るのではなく、斧を使うように(バットを)使いなさいと言い続けた」。アッパースイング矯正のため、ダウンスイングを徹底させた。試合では結果を求めない。あくまでも、練習での意識を実践させる場に過ぎない。当時はそれほどのレベルだった。

 それでも育成の場である二軍で、バティスタの未来にかけることができたのは、バティスタの練習に取り組む姿勢にあった。

【次ページ】 成長の要因は貪欲さと吸収力。

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