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阪神にいなかった“ニュータイプ”。
ドラ1ルーキー近本光司の未来像。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2019/05/20 11:15
開幕は2番打者としてスタートしたが、その後、1番に定着した。特に本拠地・甲子園で打率.319、2本塁打、8盗塁と活躍が目立つ(5月20日現在)。
目指すべき理想は巨人・丸。
開幕直後は盗塁をする場面も少なかったですが、おそらく対戦するピッチャーを観察する期間だったのでしょう。ここにきて9連続で盗塁成功と、足のギアも上がってきました。相手ピッチャーのデータという部分ではベンチの力も大きいですが、地に足をつけて、しっかりと準備してから自分の武器である足を生かしていく。プロの世界で何年もやっているかのような落ち着きです。
また守備でも特に右中間への打球への反応は素晴らしいものがあります。
近本は過去のタイガースにはいなかったタイプの選手ではないかと感じます。
赤星憲広はやはり1年目から打率.292、39盗塁で盗塁王を獲得するなど足を武器に大活躍しましたし、さらに遡れば、坪井智哉もルーキー時代から首位打者を争うほどのアベレージを残していましたが、近本の場合は赤星よりも長打力があり、坪井よりも足が使える。将来的には現在、セ・リーグで2年連続MVPを獲得している巨人の丸佳浩のような選手を目指して欲しいです。
苦しい投手陣を打線がカバー。
ただ、それはあくまで将来的な理想像なので、今はとにかく塁に出るという自分の役割に徹してもらいたい。これから梅雨を迎えると、疲れからバットが振れなくなってくるので、自分のコンディションを把握して日々の練習を調整していくという賢さも必要になってくるでしょう。
それと、これは昔からずっと気になっていたことなのですが、シーズンが進んでいくと野手の肩も落ちてくるので、投手ほど頻繁ではないですが、肩を強化するエクササイズを取り入れても損はないでしょう。
投手陣を見渡すと、メッセンジャーは球威の衰えを隠せず、先発は西勇輝と青柳晃洋のふたり頼みという苦しい状況ですが、こういう時こそ、打線がカバーして、交流戦までの残り試合をほぼ5割ペースでいければ良いのではないでしょうか。
あとは藤浪晋太郎をどのタイミングで一軍のマウンドに上げるかということが重要だと思います。