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オコエは相手捕手にも遠慮なく聞く。
打率1割台でも、成長が見える理由。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2019/05/18 10:05

オコエは相手捕手にも遠慮なく聞く。打率1割台でも、成長が見える理由。<Number Web> photograph by Kyodo News

今季は開幕スタメンを勝ち取り、5月15日現在で3本のホームランを打っているオコエ。

ホームランや長打のためではない。

 メディアでそこを切り取られれば、周りは「ホームランを打つようなタイプじゃないだろ」と訝しがる。オコエが言うに、その認識こそが勘違いなのだという。

「バレルゾーンにバットを入れたいのは、8割くらいの確率で安打になるからで。自分は別に、ホームランや長打を打ちたいからやってるんじゃない。『フライを打とうとしている』って見方が、そもそも違うんですよ」

 これが、「ステップ2」である。打席での高い適応能力を身に付けるべく、同時にタイミングの取り方、ボールを呼び込む位置をアジャストすることにも力を注いだ。

 そして今、オコエの改革は「ステップ3」に突入している。

 簡単に説明すれば、「ステップ2」で固まりつつある形の安定と微調整だ。昨年12月からは、動作解析の専門家のもとで自身の打撃フォームを映像で確認しながら理論を学習しており、そこで足りないものを見つけ、練習で補っていこうとしているという。

「割れ」の習得もそのひとつだ。スイング時にバットのグリップがトップに到達すると同時に、左足をしっかり踏み込めているかどうかに打撃練習では気を配っている。

歩みを止めないオコエ。

 もちろん細部を突き詰めたらきりがない。冒頭でオコエが挙げた課題のように、打席での対応力はまだまだ道半ばである。

「イチローさんとか大谷(翔平)さんがやってきたことが、ようやくわかるようになったというか。でも、あれだけ結果を残した選手だって、完璧とは思ってないわけじゃないですか。だから、そこは意識しないです」

 打率はまだ1割台。そこから巻き返し、誰もが認める成績を収めたとする。「覚醒」「完成形」。皆はきっと、そのようにオコエを称賛し、取り組みを肯定するだろう。

 その認識もまた、間違いなのだろう。

 オコエはすでに、次のステップへ足を踏み入れているはずである。

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