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小林祐希、中島翔哉らと通ずるもの。
東京V藤本寛也がU-20W杯で輝く理由。
posted2019/05/15 17:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
東京ヴェルディは、かつては育成王国と言われ、今もその伝統が受け継がれている。
過去には菊原志郎、財前宣之ら天才と言われた選手を輩出、3月の日本代表に選出された小林祐希、安西幸輝、畠中槙之輔、さらには今や代表の中心になっている中島翔哉など、能力が高く、個性の強い選手が続々と生まれている。
また、澤穂希を生んだベレーザは、フランスW杯を戦うなでしこジャパンに10人もの選手を送り込んだ。
今やヴェルディ出身のプレイヤーが日本サッカー界に大きな風を吹かせているのだ。
左足のキック、中盤ならどこでも。
今月に開催されるU-20W杯ポーランド2019を戦うU-20日本代表にもヴェルディからユース出身の藤本寛也が選出された。藤本は2018年トップに昇格、昨年は25試合3ゴールという成績を残したキックの精度が高いレフティで、中盤はどこでもこなせるプレイヤーだ。
大会前最後の試合になったJ2第13節アビスパ福岡戦では3試合連続でのスタメン出場を果たし、右ウイングのポジションで3ゴールに絡む仕事をして3-2の勝利に貢献した。
「勝てて良かったです。ここで勝利することで自分の評価も違ってくるんで」
コメントからも上昇志向が高いことが窺える。小林も中島もそうだが、これはヴェルディユース出身者に共通している。また、基本的に技術が高い。
藤本はさらに判断が早く、その状況に応じて点につながるプレーの選択をしている。
福岡戦の1点目は右サイドで藤本は縦を突いた渡辺皓太にパスを出し、ネマニャ・コイッチの来日初ゴールを導いた。しかも、この時、藤本はコイッチのシュートのこぼれ球を狙ってしっかりと詰めていた。
3点目は、左サイドでボールを持った際、オーバーラップしてきた奈良輪雄太を使ってパスを出し、そのクロスがオウンゴールにつながった。藤本は自らドリブルでも行けたが、2点目のシーンで自らが起点となって奈良輪を使い、クロスを上げて小池純輝が決めたイメージがあったので、瞬時にパスを選択したのだ。
「1点目、僕が中央に流れてシュートでもいいかなと思ったんですけど、皓太くんが走ってきたので出しました。いい関係が昨年からずっと出来ていたので、この時もパスを出して正解でした。3点目はナラくん(奈良輪)が高いポジションを取っていてくれたので、なるべく追い越す選手を使った方が得点チャンスになる。ナラくんにはいい感じでボールをつけられたと思います」