話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
小林祐希、中島翔哉らと通ずるもの。
東京V藤本寛也がU-20W杯で輝く理由。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/15 17:30
U-20W杯前、最後のホームゲームで勝利に貢献したMF藤本寛也。サポーターからのエールが書き込まれた日の丸を受け取った。
東京Vでは右ウイング、U-20ではボランチ。
藤本は、現在のチームでは基本的に右ウイングとして起用されている。
基本的にというのは試合の中でポジションを変更することが多いからだ。福岡戦も右から左にポジションを変え、コイッチが後半18分にベンチに下がると1トップになった。「ぶっつけ本番でした」と練習でもやったことがなかったようだが、藤本の場合、どこのポジションでも求められるプレーができることが監督の大きな信頼を得ているひとつの要因になっている。
1トップに置かれた際は、「最前線でボールを収めたり、守備をやってほしい」と監督に言われたというが、藤本は佐藤優平とともに「ボールを前進させないように守備をしていた」という。それを交代する後半31分まで約13分間、しっかりとこなしていた。
ヴェルディでは右ウイングだが、U-20日本代表ではボランチとしてプレーしている。
藤本は、「どこをやるにしても常に切り替えて整理しながらやっています」というようにヴェルディのサッカーと代表のサッカーがしっかり分離、整理できており、役割をしっかりと把握してプレーができている。
藤本が上手い“味方の使い方”。
ただ、国際大会でボランチを任されると体が大きく、強い外国人選手への守備が重要になってくるが、藤本はボランチのパートナーや周囲との連係を高めて対応していく考えだ。
「まだ、最終的に自分がどこをやるのか分からないですが、(U-20日本代表監督の)影山(雅永)さんのサッカーは日本人のいいところを出すサッカーで、ひとりでボールを獲れないなら2、3人で獲るとか、がんばるとか、運動量とかがベースです。さらに自分はボールを奪ったら相手の嫌なところを突いていくとか、走っている選手がいれば使って、逆に自分がパスコースを作る走りをするとか、そういう部分でチームに貢献していければいいかなと思っています」
福岡戦でも見せたが味方の使い方は、絶品だ。
たとえば、かつて名手と言われた名波浩や中村俊輔はスルーパスを出した時、どうだと言わんばかりにパスの軌跡を見ていた。だが、藤本はそこから前に飛び出していく。動きが止まることなく、ボールにどんどん絡んでいくのが、藤本の良さであり、凄さだろう。
もちろん、左足のキックの精度は高い。ヴェルディではプレースキックを任されているし、代表でも蹴るシーンが多い。
「セットプレーがいかに大事かというのは、A代表の試合を観てても分かります。自分たちがセットプレーで点を取るのは大事ですけど、取られないのがより重要ですね。短期決戦のW杯では、そこで勝敗が決まると思うんで。点を取る時、ゴールの80~90%がキッカーの質で決まってしまうので、蹴る時は自信を持って蹴りたいと思います」