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大本命不在のヴィクトリアマイル。
日本が大切に育てた血統が勢揃い。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2019/05/11 08:30

大本命不在のヴィクトリアマイル。日本が大切に育てた血統が勢揃い。<Number Web> photograph by Kyodo News

昨年は大接戦を制したジュールボレールがGI初制覇を成し遂げた。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。

メイショウオワラとデンコウアンジュも。

 今年のヴィクトリアマイルの出走馬にも、血統表を遡るだけでワクワクするようなクラシックな牝系の馬がいる。

 内枠から順に見て行くと、まずは3枠5番のメイショウオワラ(5歳、父ディープブリランテ、母メイショウヤワラ、栗東・岡田稲男厩舎、三嶋牧場産)。10代母のステフアニアは、1923年にイギリスで生まれた輸入牝馬である。

 同馬に10戦10勝で皐月賞とダービーを勝ったトキノミノルなどの父として知られる輸入種牡馬のセフトを配合し、1939年に牝馬の安優が産まれた。それに種牡馬の月友(牝馬初のダービー馬ヒサトモの半兄。トウカイテイオーにつながる)を付け……といったことをつづけて現在に至る。

 そうしたプロセスで1967年に生まれた第参ヒガシヒメは、メイショウオワラの5代母にあたる。

 この第参ヒガシヒメは、なんと、4枠8番デンコウアンジュ(6歳、父メイショウサムソン、母デンコウラッキー、栗東・荒川義之厩舎、磯野牧場産)の5代母でもあるのだ。

1966年に輸入された「天馬の母」。

 7枠14番のレッツゴードンキ(7歳、父キングカメハメハ、母マルトク、栗東・梅田智之厩舎、清水牧場産)も、5代母が1969年にアメリカで生まれた輸入牝馬レディフランダーズで、1986年の産駒に江川卓氏が一口所有していたことで知られるレディゴシップがいるなど、なかなか面白い。

 そして、大外8枠18番のフロンテアクイーン(6歳、父メイショウサムソン、母ブルーボックスボウ、美浦・国枝栄厩舎、林孝輝生産)は、5代母が「天馬」トウショウボーイを産んだソシアルバターフライというクラシックな血統だ。

 アメリカで生まれ、'66年に輸入されたソシアルバターフライは、トウショウボーイのほか、自身の牝系の血をつないでいくソシアルトウショウや、このフロンテアクイーンにつながるブルートウショウなど、優れた産駒を送り出した。

【次ページ】 三浦皇成がGI初制覇という可能性も。

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