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ゴールボールの天摩由貴が、ロンドン
パラに出場後、陸上競技をやめた理由。 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byYuki Suenaga

posted2019/05/06 08:00

ゴールボールの天摩由貴が、ロンドンパラに出場後、陸上競技をやめた理由。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

ディフェンス時、顔に当たらないよう天摩さんの左腕は顔の前に。でも修造さんの顔は無防備。ボールは硬い。当たったら、痛い!

お母さんの似顔絵を描こうとして。

松岡 知らなくても全然大丈夫(笑)。実際に目は見えていたんですね。

天摩 でも、健常者、晴眼者と同じように見えていたかというとそうではなくて、視力で言うと0.03とか0.04。一番良いときでそれぐらいでした。

松岡 それがいくつの頃ですか。

天摩 保育園や小学生の頃です。そのころはまだぼんやりと人は認識できてました。着ている服や髪型で、この人は誰々さんだって。ただ顔の特徴までは認識できていなかったです。

 だから保育園の時に、母の日にお母さんの似顔絵を描こうと言われたことがあって、その時に母の顔が描けなかったのを憶えてます。ぼんやりとしか見えていなかったので、絵に描くことができなかったんですね。

松岡 それは辛い話ですけど、感じているお母さんの顔はあるわけですよね。

天摩 (しばしの沈黙)あるんですかね。

目ではないところから感じ取る。

松岡 なんて言えば良いのかわからないけど、僕は人の顔が見えている。だから少なからず顔で判断するとか、視覚に頼ったところがあります。由貴さんはむしろそうした情報に振り回されていないから、もっと素直に人を判断しているように思うんですね。違う捉え方ができているんじゃないかって。

天摩 人が得る情報の8割以上が視覚からだってよく言いますよね。私にはそれが欠落しているので、代わりに鼻や耳などの別の感覚器官でそれを補っている。私たちなりに目ではないところから感じ取っているとは思うんですけど。

松岡 まさにゴールボールがそうですね。目隠しをした状態で、あれだけ細かい動きができるわけですから。目が見えなくても、ボールが転がってくる軌道は見えているような気がする。どういうイメージなんですか。

天摩 うーん、あまり自分たちがどう見ているかとか、どう聞いているかとか考えたことがないので……。

【次ページ】 聞くことに関して長けているかも。

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