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貧打に苦しむタイガースの4番打者、
大山悠輔に求められる“恐怖”とは。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2019/04/23 08:00
白鴎大から2016年のドラフト1位で入団し、3年目を迎えた。昨季は117試合に出場して打率.274、11本塁打、48打点。
一発で仕留めにいくスイングを。
チームで最も長打を打てるバッターだからこそ4番を任せられているのに、その長所をいかさないでどうするのか。小さくならず、どんな状況でも一発で仕留めにいくというスイングをするべきではないでしょうか。
たとえ、空振りをするにしても、相手が「これ、当たったらどこまで飛ぶんだ」という、投手が恐怖を感じるくらいのスイングをすべきだと思います。タイガースでは福留孝介が時折見せる、あの豪快な空振りは、少なからず相手投手に影響を与えるものなんです。
今の大山はインコースが弱点だと判断され徹底的に攻められています。相手投手は1発をさほど怖がっていないので、思い切って、内角に投げ切ることができて、そういう心理状態の時というのはいいところに決まるものなんです。
もし、少しでも甘くなったインコースの球を高い確率でスタンド・インできれば、相手は「間違ったら危ない」という心理が働き、これがコントロールミスを誘発するわけです。そういう循環にするためには、空振りしてもいいから、一発狙いのフルスイングを貫いて、苦手とされているインコースの球をホームランにしていくことでしょう。
私が現役時代、原辰徳さんなど、他球団でずっと4番を張っている人というのは、内角へ投げても、ボールを完全にベース板の上に乗せてしまうとかなりの確率でホームランにされてしまいました。だから、1個か、半個は外さないといけない。そのプレッシャーが投手のコントールを狂わせるのです。
巨人・岡本とのプロセスの違い。
開幕前、私は、4番は糸井に打たせるべきだと思っていました。現在のチームにおいて最も勝敗を背負える打者ですし、大山にはまだ荷が重いように見えたからです。
巨人の岡本が5年目、22歳の若さで今季開幕から4番を打ち、結果を出していますが、岡本と大山とではそこまでのプロセスが違います。
巨人は昨シーズン、岡本をずっと1年間、使い続けました。その経験からフルシーズン、主軸を打って出場し続けるということがどういうことかが身を持ってわかったでしょう。体もかなりでき上がったように見えます。一方で、大山は出場しなかった試合も多くあった。それを一緒にしては酷というものです。