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貧打に苦しむタイガースの4番打者、
大山悠輔に求められる“恐怖”とは。
posted2019/04/23 08:00
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
阪神タイガースは開幕から21試合を終えて 7勝13敗1分の最下位(4月21日現在)です。じつはセ・リーグの順位というのはチーム得点数とほぼ比例していて、低迷の原因はまさに貧打にあるでしょう。
なかなか点が取れずに苦しんでいるタイガース打線の中で、やはり注目されるのが4番の大山悠輔です。打率.263、4本塁打、11打点(4月21日現在)と初めて開幕から4番を打った選手としては及第点とも言えるかもしれませんが、正直、私の目から見ると「怖さ」が足りないように映ってしまいます。
例えば、4月12日の中日戦(甲子園)、4-6と追い上げた7回裏、2死二、三塁から糸井嘉男が申告敬遠で歩かされて満塁となった場面、大山はインコースに完全につまってサードゴロ。あそこで1本出るか、出ないかで勝負が決まるというシーンでした。
その試合、相手の4番打者ビシエドは2本のホームラン。4番の差がはっきりと勝敗に表れたゲームでした。
大山は糸井を超える必要がある。
かつての掛布(雅之)さんもそうでしたが、4番打者というのはチームを背負うバッターです。だから凡退しても、みんなが「この選手が打ち取られたなら仕方ない」と納得する存在でなければなりません。
現状、タイガースで最も頼りになるバッターは3番の糸井でしょう。彼が打ち取られたなら仕方ないという空気はあります。だから、相手は糸井を避けて、大山勝負を選択する。当然、チャンスで打席が巡ってくる。勝負どころで打てていないイメージがあるのはそのためでしょう。4番として大山は糸井を超える必要があるんです。
では、どうすればいいのか。私が思うのは、大山の長所で勝負するということです。
今の大山は、ランナーが一塁の時など、たまに走者を進めるために右打ちをしようとするような場面が見られます。相手からすれば、こんなに楽なことはないでしょうし、タイガースファンからすると頼りない感じがしてしまうのではないでしょうか。