球体とリズムBACK NUMBER
マリノスの“裏の番人”はCBチアゴ。
仲川並みの俊足で潰すピンチの芽。
posted2019/04/17 08:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
「何も変えないことが重要」と信じるアンジェ・ポステコグルー監督のもと、横浜F・マリノスは今季も野心的な航海を続けている。オーストラリア人指揮官の1年目だった昨季と比べて、今年は清々しいほどの攻撃性はそのままに、安定感の高まりも披露。
チームはリーグ戦でここまで3勝3分1敗と、5位につけている。
昨季との大きな違いのひとつに、凡ミスからの失点の減少がある。先週末のJ1第7節・名古屋グランパス戦(1-1)では微妙な判定のPKから、序盤に先制点を決められているが、その前の2試合は連続無失点。選手同士の距離感やリスクマネジメントが改善され、チームは確実に成熟度を上げている。
それにはリーグ屈指のCBコンビの存在が大きい。
3月に日本代表にデビューした畠中槙之輔と、ブラジル随一の名門パルメイラスから期限付きで在籍しているチアゴ・マルチンス。昨夏にそろって加入した2人の守備者は、マリノスのアグレッシブな航行を支える帆柱だ。
「チアゴとシン(畠中)がすごく安定しているので、頼もしいです」と主将のひとり、天野純は言う。「特にチアゴはシンプルに能力が高い。(ディフェンスラインの)裏に出されても追いついてくれるので、ありがたいですね」
チームに不可欠なチアゴの速さ。
今のマリノスは最終ラインが高く、その後ろには広大なスペースがある。当然、相手はそこを突いてくるが、猛スピードでチアゴがカバーに入り、大事には至らない。そんなシーンがよく見られる。
同僚の快速アタッカー、仲川輝人にも劣らない抜群の速さは、「血筋だろうね」と24歳のブラジレイロは打ち明ける。
「両親が体育の先生で、小さい頃からスポーツが身近にあったんだ。父はサッカーとバレーボール、母はバレーボールと水泳の選手でもあった。自分も昔から色々な動きをやってきたので、それが今に生きていると思うよ」