ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム広報が王柏融取材で接した、
台湾メディアの情熱と温かなお礼。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byKyodo News
posted2019/04/15 17:00
開幕3戦目でお立ち台に上がった王(中央)。現在は打率.263、8打点、本塁打なし(4月14日現在)と、まだ日本野球への順応途上のようだ。
女性記者が王のグッズを……。
札幌ドームの球場内には、いくつかの巨大なコンクリート造りの柱がある。そこに選手がデザインされている。セレモニー対応をするゲート近くで、王選手をモチーフにした1本を見つけると、台湾メディアの方々は代わる代わる記念撮影である。
照れることなく、恥ずかしがることもなく皆、笑顔で収まっていた。
女性記者の1人は、その足で近くにあるグッズ販売エリアへ。わずか1分足らず、だっただろう。即断で、王選手のグッズを1万円分ほど数点、購入したのである。
大げさではなく、私が目にしてきた経験の中でもトップクラス、胸がすくような「衝動買い」だった。そんな行動の1つをとっても、王選手への思い、期待がにじみ出ていた。こちらも手に取るように、分かった。再認識した。
陽岱鋼との縁で親交のある記者も。
私がスポーツ紙の記者時代、少しだけ親交があった記者の方々も同行しており、再会した。読売ジャイアンツの陽岱鋼選手関連や、また国際大会の際によく現場でお会いしていたのだ。そんなキャリアのある記者のほか、また王選手と同世代の記者、カメラマンの方々も多数いた。
現在はインターネットなどの環境が整った情報社会。台湾にいても試合の詳細などは収集できるが、わざわざ来日してくれていた。それほど王選手は大きなトピックであり、また各社も正当な価値判断をして、日本での現地取材を選択したのだろう。
多くのメディアの方々は、その3連戦だけで台湾への帰路に就いた。
開幕2カードを終えると、その姿はなくなった。日本のメディアは大リーガーを1年間、ほぼ密着するのが担当記者らのオーソドックスなスタンスである。台湾では、その慣例の有無は分からないが、節目だけを取材して、まず一区切りをつけたのである。
次回の来日取材のタイミングはあるのかと問うと「分からないです。何も決まっていません」と、少し寂しそうだった。