球道雑記BACK NUMBER
北大医学部のち、独立リーグ人生。
新潟・三木田龍元はプロを諦めない。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2019/04/06 08:00
“インテリ左腕”として注目を集めた三木田龍元。プロ入りを目指し、フォーム改造などに着手した。
黙って応援してくれた両親への感謝。
そんな息子のわがままを、両親も黙って応援してくれた。その気持ちには、もちろん感謝の気持ちしかない。
「(のびのびやらせてもらった?)それは本当にありますね。それこそ独立リーグで長く続けることに関しても金銭面でかなり大変だったと思いますし、自分は大学院にも受かっていたので、(心のどこかでは)反対する気持ちもあったと思うんです。だけど、そういうのは一切言ってこなかった。それは本当に有難かったなって思いますね」
父も母も学生時代、スポーツで何かを成し遂げたタイプではなかった。最終学歴も一流大学を出たわけではなかったし、自分がしなかったこと、できなかったことを子供に押し付ける、そんな両親でもなかった。
だから日々の勉強についても、しつこく「やれ」とは言わなかった。
悪く言えば放任主義。良く言うなら子供の意志を尊重する。そんな両親だったからこそ、三木田は彼に隠された様々な才能を開花させることができたし、文武両道の道を歩むことができた。
「勉強は自分で勝手にやっていました。たぶん負けず嫌いな性格とそんなに勉強が嫌いじゃなかったんだと思います。特に苦にすることもなかったですし、やるときはしっかりやって、休憩もしっかりとって、ダラダラするときはダラダラする。野球も勉強もそんな感じでした。線引きというかメリハリをつけてやるようにしたんです。
だから今も野球と全然関係ない勉強をしていますし、読書もしています。そのおかげで色々と身に付いたのかなって自分では思いますね」
すべて、野球に繋がる。
大学で学んだこと、そして今、野球と向き合う中で学んでいることはすべて、自分の人生のプラスになると断言する。
「高校までの勉強は一般的な教養の部分ですけど、今やっている勉強は全部野球に繋がります。筋トレのことだったり、栄養のことだったり、あまり切り離して考えていないです。目標設定の部分でも野球と勉強は共通しているところがあると思います。たとえば気象予報士の資格をとったときも試験までのプランを立てて、逆算して、今、自分ができていないところを整理しながらやっていくのが、自分がよくやってきた手段なんです。
それは野球にも繋がっていると考えていますし、今年で言えば10月のNPBドラフトまでに、自分のなっていたい姿を頭で描いて、現状の自分と比べて、そこまでの課題、道筋を立てて行く。それは野球でも勉強でも一緒だと思うんです」
これまで彼が成し遂げてきた奇跡の数々が妙な説得力を持たせていた。