球道雑記BACK NUMBER
北大医学部のち、独立リーグ人生。
新潟・三木田龍元はプロを諦めない。
posted2019/04/06 08:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Ryotaro Nagata
そこに僅かでも可能性が残っているのなら、自分の感覚を信じ、周りの声に流されず、その道を進んで行けばいい。
アルビレックス新潟・ベースボール・クラブに所属する25歳、三木田龍元はそうやって自分の道を切り拓いてきた。道内最高峰である北海道大学医学部を卒業した経歴を持つ異色の独立リーガーである。
北大在学中は、合格率4%台と言われている気象予報士の資格を取得。野球部でも、大学4年の春には10年以上20試合近く勝ち星をあげることができなかった難敵・道都大学を相手に延長10回を1人で投げ切り1失点で完投勝ちを収めてみせた。
可能性はどんなことでもゼロじゃない。それを自らの力で証明し続けてきた。
だからこそ、今の自分にしかできない、今の自分でしか挑戦できないNPB入りの夢に向かって、彼は歩を進めた。
今の自分にしかできないこと。
大学卒業後、クラブチームを経て、香川オリーブガイナーズ、徳島インディゴソックスとプロの道を模索しながら独立リーグを渡り歩いた3年間。実は昨年、そんな自分の挑戦を諦めようと考えた時期もあった。
「(昨秋の)BCリーグのトライアウトを受けるまでは、今年も野球を続けるのか、続けられないかという部分で心が揺らいだときが正直ありました。ただ、昨年は自分の中で『やり切りたい』という気持ちが強かったのに対し、やり切れなかった想いの方が強く残ってしまったので、トレーニング方法などをもう1度見直して、あと1年だけ頑張ってみようと思ったんです」
弱くなりかけた自分のマインドをリセットし、次の一歩を踏んだ。
北海道大学の在学中には、気象予報士の国家資格の他に、作業療法士の資格も取得していた。卒業後は大学院に進む道も選択肢に入っていたが、いつしか今の自分にしかできないことを深く考えるようになった。その答えが小学3年生から続けてきた「野球」という選択肢を選ぶことにも繋がった。
「大学院に進むのは変な話、自分の体が衰えてからというか、歳をとった後でもチャレンジ出来ると思ったんです。でも野球に関しては一年、一年が勝負なんで、23歳のときに大学院には受かりましたけど、自分は野球を優先したかった。今の自分にしかできないことを自分はやりたい。そう思ったんです」