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北大医学部のち、独立リーグ人生。
新潟・三木田龍元はプロを諦めない。 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byRyotaro Nagata

posted2019/04/06 08:00

北大医学部のち、独立リーグ人生。新潟・三木田龍元はプロを諦めない。<Number Web> photograph by Ryotaro Nagata

“インテリ左腕”として注目を集めた三木田龍元。プロ入りを目指し、フォーム改造などに着手した。

球速140キロの左腕は珍しくない。

 とは言え、彼がNPB球団に入団するのは相当困難な道であることには変わりない。

 球速140キロの左腕なんて今のご時世珍しくない。日本国内、高校野球、大学野球、社会人野球と回ってくれば、もっと若くて、活きの良いピッチャーが見つかるのはまず間違いない。彼がこれから探し当てねばいけないのは、「三木田龍元でなければいけない」という理由である。

 球速が今から僅か半年で、急に10キロ以上上がるのは、考えにくい。年齢だって今から5歳若返るなんてタイムマシンがあってもできないだろう。

 そこで三木田は考えた。

 新潟・清水章夫監督やチームメイト達と共に出した答え。それが左の変則投手に転向する決断だった。

 追い求めてきた夢を実現するため、自分が生き残れる道を冷静に考え、最後の賭けに打って出ることにした。三木田が言う。

「以前は頑張って上からボールを投げようとしているところがあったんです。だけど、無理に上から投げるのではなくて自然な形で投げるようにと考えた結果、腕の位置を少し下げた方がハマるんじゃないかと、チームメイトや清水監督からも言われました。清水監督も現役時代は左の変則気味のピッチャーだったと聞いていたので、そのときの感覚なども教わりながら今、取り組んでいるところです」

考え抜いた末の変則左腕。

 自分は150キロのボールを投げるピッチャーじゃない。

 自分が今、何をしたら、需要に応えられるのか。考えに考え抜いて出した答えがこれだった。

 新潟には今年のNPBドラフトで上位指名を狙っている153キロ右腕の長谷川凌汰がいた。彼の存在も自分を客観的に見つめる、良い機会となった。

「(新潟は)長谷川を筆頭にピッチャー陣のレベルがみんな高いので、球速の平均値も速いですし、参考になる部分はたくさんあります。でも、そこで自分が一緒になって、頑張って150キロを出そうとするのは少し違うなと思ったんです。シーズン中はそういうピッチャー陣からバトンをもらったりすることの方が多いわけじゃないですか。ならば、その輪から外れてと言うか、バッターが打ちづらいと思うボールや、角度を追い求めた方が良いのではないかと思ったんです」

 その答えがNPB入りの扉を開く突破口になるのかは今のところ分からない。でも、可能性を信じて、彼は今は取り組むだけである。

【次ページ】 トレーニングも見直し。

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