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レジェンドに挑む「ネクストジェン」。
フェデラーは世代交代を恐れない。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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posted2019/04/04 10:30

レジェンドに挑む「ネクストジェン」。フェデラーは世代交代を恐れない。<Number Web> photograph by Getty Images

2017年のレーバーカップでアレクサンダー・ズベレフ(左)と話をするロジャー・フェデラー(中)とビヨン・ボルグ(右)。

「錦織世代」とは異なる状況。

 男子テニス界がこれほどの年齢差でトップレベルを争った時代はかつてない。従来のスーパースターに引導を渡すのは、せいぜい10歳くらい下の実力者だったのだ。今、テニスファンの関心はもっぱら、フェデラーとノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルを指す「ビッグ3」と「ネクストジェン」の世代交代の行方にある。

 いくら彼らが偉大で今なお健在でも、揃って5年先まで今と同じ支配力を保っているとは考えられない。新勢力は全力で挑戦し、学ぶだけ学び、得るだけ得て、彼らが去ってから自分たちの時代を作っていける。その意味で、全盛期の「ビッグ4」の壁を破ることでしか自分たちの時代を作ることができなかった「錦織世代」の重圧とは、大きく異なるだろう。

 今度の世代交代は実現するかしないかではなく、時間の問題といえる。

若手成長を促した「レーバー・カップ」

 しかし、フェデラーを敬愛し、心酔するファンでさえ、新たな時代の到来に興奮することができるのは、フェデラー自身が“そのとき”に対して怯えていないからではないだろうか。怯えるどころか、優しく厳しい目で見つめ、成長を助けている。

 2年前、フェデラーがオーストラリア・テニス協会と手を組んで立ち上げた『レーバー・カップ』はヨーロッパ選抜対世界選抜のチーム対抗戦だが、その大きな目的は「世代を超えた結びつき」にあったという。

「シャポやフェリックスのような若い世代が、僕やラファやその他の選手と同じチームで戦うことで、学ぶことはあるはずだ。また、キャプテンであるビヨン(・ボルグ)やジョン(・マッケンロー)からも何かを学べる。ロッド・レーバーも同じ空間にいる。彼らはテニスの歴史にも興味を持つだろう」

 レーバー・カップはフェデラーが願った通り、あらゆる世代のスーパースターが集うファン垂涎のイベントとして大成功をおさめ、過去に出場したズベレフ、シャポバロフ、ティアフォーの成長はその賜物だ。フェデラーは少なくとも20年続けたいと夢を語る。

【次ページ】 フェデラーはよく「見る」。

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