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Bリーグで異端の“儲かるクラブ”。
大阪エヴェッサ34歳社長の商人魂。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYusuke Mimura

posted2019/04/02 08:00

Bリーグで異端の“儲かるクラブ”。大阪エヴェッサ34歳社長の商人魂。<Number Web> photograph by Yusuke Mimura

リーグ最年少34歳で大阪エヴェッサの社長を務める安井直樹。大阪府出身で、自らも小学生からバスケをプレーしてきた。

スポンサー名が目に入る会場。

 それでも安井は「スポンサーになってくれるところなんて、なかなかないから……」と言われながらも営業の電話をかけ、1社、また1社とスポンサーを集めていった。

 それが社内で認められ、安井は初めてスポンサー営業専属のスタッフとなった。そしてBリーグ開幕に合わせて、社長となったのだ。初めての生え抜き社員を社長登用。さすがに31歳での就任は若すぎる、と本人は感じていたのだが……。

 しかし現在のエヴェッサのホームゲームに行けば、スポンサーの名前が色々なところに露出していることに気がつく。

 例えば、どのチームの会場にも置いてある選手の等身大パネル。バスケットボール選手の大きさに驚きながら、ファンが一緒に写真を撮って楽しむためのものだが、エヴェッサでは選手のパネルごとにスポンサーの名前が貼り付けてある。

 あるいは、社内で使うエヴェッサのロゴの入った封筒。これにもスポンサー企業の広告がプリントされている。その制作費をスポンサーに「ご負担いただいている」からだという。

 極めつけはエヴェッサのフリースローが入ったとき。得点を知らせるアナウンスと共に、その試合の冠スポンサーの名前が読み上げられ、好評を博しているのだ。

パートナーは優に400社超え。

 もっとも前述のデータをよく見ると、Bリーグ初年度から2年目にかけて、スポンサー収入でのランクが下がった。同時に、収入額のランキングでもリーグ1位から3位に落ちている。

 これはヒューマングループからの広告宣伝費を大幅に減らしたことと関係している。株式関係は変わらなくとも、実質的な親会社からの収入に頼らないスタイルへ段階的に進んでいっているからだ。

 エヴェッサの最大の強みはスポンサー数で、Bリーグ内で断然のトップを走っているのだ。「パートナ-」という呼称を用いているのだが、その数は400社を優に越えている。

 1つの企業に依存することにリスクがあるのは、この世界に関わるものならみな知っている。かつてNBLのチームが親会社の業績の悪化と共に廃部という形で姿を消し、関係者の多くが涙を流してきた。

 ただ、そんな過去が安井の背中を押しているわけではない。むしろ、大阪で育った“商人的なDNA”が原動力なのかもしれない。

【次ページ】 施設面でも幸運に恵まれた。

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