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Bリーグで異端の“儲かるクラブ”。
大阪エヴェッサ34歳社長の商人魂。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYusuke Mimura
posted2019/04/02 08:00
リーグ最年少34歳で大阪エヴェッサの社長を務める安井直樹。大阪府出身で、自らも小学生からバスケをプレーしてきた。
施設面でも幸運に恵まれた。
「例えば、うちを支えてくださる会社が500社あるとして、ひとつひとつの会社から、そこまで無理のない範囲で年間に10万円増額していただく。それだけで、5000万円にもなるんですよ。その数が、これからの強みになると思うんです。この発想はスポンサーを務めてくださる住宅メーカーさんから教えていただいた考え方がもとになっているのですが」
安井はそのように語る。
エヴェッサには施設面での幸運にも恵まれた。大阪市が公共施設の赤字削減に取り組んでいる時期に、現在の「おおきにアリーナ舞洲」の賃貸借契約を結べたのだ。期間は2015年4月1日から2025年の3月31日までである。
この契約にはいくつかのメリットがある。
まずは、観客の満足度の向上につなげられることだ。
今季からゴール裏にリボンビジョンを設置した。これはサッカーにおけるピッチ脇の広告ボードに近いが、バスケットボールではスポンサー名を表示するだけではなく、チームの応援の盛り上げなどにも使用できる。
またエヴェッサは“ウルトラテクノロジスト集団”を自称して話題の「チームラボ」によるプロジェクションマッピングを仕掛けている。これをBリーグ初年度から始められたのも、それらに必要な設備を日常的に設置・保管できる環境があったからでもある。
アリーナ管理者として利益を上げる。
そして、何よりも大きいのは資金面での恩恵だろう。
多くのチームは1試合ごとにアリーナ使用料を会場の持ち主に支払わないといけない。もし不測の事態が起きてアリーナを借り上げる日数が増えた場合には、出費もかさむ。今季からはプレーオフにあたるチャンピオンシップ(CS)も最大2日間から3日間に延長されるため、さらなる負担となる可能性がある。また、公共施設であるためにスケジュール調整に時間も労力もかかる。
しかし、エヴェッサは定額でアリーナを借り上げている。
さらにアリーナの管理者として、自分たちが使用しないときには、第三者に貸し出すこともできるのだ。どちらがお得かは一目瞭然だ。
エヴェッサはアリーナの管理者として利益も上げている。ただ、大阪市にはきちんと賃貸料を支払っているので、納税者への申し訳も立つというわけだ。
そんな安井の手腕について、大河正明チェアマンが「ダントツの営業力」と手放しで賞賛したこともあるほどで、エヴェッサはBリーグの模範生的な存在として語られることが多い。