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八村塁、堂々の“スイート16”進出!
渡米後2年間で見せた急激な成長の跡。
posted2019/03/26 16:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
NCAA Photos via Getty Images
八村塁(ゴンザガ大)の3度目のNCAAトーナメントは、ユタ州ソルトレイクシティのビビント・スマートホーム・アリーナで始まった。
山に囲まれたソルトレイクシティの景色は、八村によると、彼の生まれ故郷である富山とよく似ているそうで、「思わず写真を撮ってしまう」ほど懐かしい気分になると言う。
2年前、八村にとって初めてのNCAAトーナメントも同じ場所で始まった。当時、まだ渡米1年目の1年生で、勝敗が決まる前に試合に出ることはほとんどなかったが、それでも1回戦残り1分10秒にはコートに立ち、日本人男子選手として、史上初めてNCAAトーナメントに出場したのだった。
もっとも、日本バスケットボール史上に残るそんな歴史的な瞬間のことを、八村塁は覚えてもいなかった。
3月20日、NCAAトーナメント1回戦の前日メディアデーに、2年前の話を振ると、八村は目を丸くして言った。
「僕出たんですか? 本当ですか? 全然記憶ないですね」
「NCAAに出ることが目標ではないので」
2年前の八村は、準備期間として見て学ぶシーズンを送っていた。
実際、毎試合ベンチ入りしていたものの、NCAAトーナメント6試合で出場したのは3試合、合計6分間にすぎなかった。だからなのか、初めてNCAAトーナメントのコートに立った後も、そのことに特別に意義を感じていたわけでもなかったようだ。当時、八村はこう言っていた。
「NCAA(トーナメント)に出ることが目標ではないので。そこで勝つっていうことが目標なので。まだ僕は試合に出ていないんですけれど、来年に向けて、どういう雰囲気なのかとか、そういうところを学んでいきたいなと思います」
あれから2年たち、今の八村は最終全米ランキング4位、西地区1シードのチームのエースだ。