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貴景勝が戦うのは白鵬か、10代か。
相撲界で中卒入門がトレンドに? 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2019/03/27 06:30

貴景勝が戦うのは白鵬か、10代か。相撲界で中卒入門がトレンドに?<Number Web> photograph by Kyodo News

両親の前で大関への昇進を決めた貴景勝。時間は若い彼の味方だと思われていたが、10代の追い上げも加速している。

アマチュア力士の早期入門がトレンドに。

 そしてその傾向は、今年も続いている。

 場所前にも、アマチュア相撲の実力者が大学を経ずに入門するというニュースが紙面を賑わせていた。中でも注目は、昨年の高校横綱の斎藤改め北の若だ。

 北の若は、中学卒業時点ですでに将来を嘱望されていた。私も当時、「次の横綱」という評判を耳にして関係者から映像を見せてもらい、スケールの大きな相撲と優れた運動神経にその評判も頷けると感じたものだ。

 考えてみると「将来の横綱」ではなく「次の横綱」というところに期待の高さが窺い知れる。高校横綱という実績をともなっての角界入りで、期待せずにはいられない逸材である。

 その他にも、200キロを超える巨体で話題の當眞嗣斗は相撲の名門・鳥取城北高校から宮城野部屋入りというニュースが報じられた。彼もまた、わんぱく横綱という実績を持つアマチュア相撲界のエリート力士だ。

中卒力士の質も平成最高?

 さらに、アマチュア相撲で実績ある力士が中学相撲界から直接角界入りする事例が今年は非常に多かったのも驚きである。関係者から聞いた話によると、今年は全国中学校相撲選手権で結果を残したエリート力士たちが、高校を経由せずに入門しているということだった。それも、彼らが入門するのは、叩き上げ力士の育成に定評のある猛稽古で知られた部屋ばかりである。

 また、2018年入門の中卒即入門力士の平均成績が、平成年間で最高というデータがある。平成年間のデータを振り返ると、序の口での勝率がどの年度も大体平均3.0勝から3.2勝程度で、悪い年には2.5勝まで落ちることもあるのだが、昨年はなんと3.7勝ということで、これはダントツに高い水準だ。つまり、早期入門力士の質の向上はトレンドになりつつある。

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