サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
昌子源が代表の戦術を進化させる。
「いろんな方法があると思うんです」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/25 12:00
吉田麻也が不在の状況では、昌子源こそがディフェンスリーダーである。影響力は急速に大きくなっている。
前半は攻勢、しかし対策を打たれ……。
前半の日本は、コロンビアのミスを誘発するほどアグレッシブに攻めた。8本のシュート数は3本のコロンビアのそれと比べても圧倒している。守備陣もカウンター攻撃に対して丁寧なケアができていた。
しかし0-0で迎えた後半、コロンビアが一気にギアを上げる。57分、11番のドゥバン・サパタが投入されると形勢が逆転し、64分にはPKで先制点を決められた。
「11番が入ってファルカオと2トップみたいになり、2トップっていうか4トップみたいな状態で、日本の4バックに対して嵌めに来た。そのうえで11番を中心にボールをキープされて、僕らはどうしても後ろに重たくなってきた。
相手も前から来るようになってパスが回らなくなったところ、押し込まれたところでの失点だった。それは後ろの選手としては非常に悔しい。そこで耐えられたら、チームとしてもよかったかな。危ないシーンがあっても、みんなが守る、誰かがやられてても誰かが助ける、そういうカバーはできていた。それでも結局PKとはいえ、ゴールを入れられたことはしっかり反省して次へ活かしていかなくちゃいけない」
日本は、チームとしての対応できず。
自分たちのペースで試合を進められなくなった時にどう立ち向かうか、その形が明確でなかったと昌子はいう。
「まずチームとして、後半のボールの回し方を考えてもよかった。相手が僕らの4バックに4人が来ていたところで、ちょっとピッチも乾き、パススピードが上がらなくなっていた。そういうなかでも、相手を剥がしていけるようにしなくちゃいけない。そこで戦い方を少し変えてみるとか、はっきりさせるべきだった。
たとえばもう少し(1トップの鈴木)武蔵を頼ってもよかったと思うし、いろんな方法があると思うんです。相手は前線に4枚を残していたから、(ボランチの山口)蛍くんにDFラインの前にずっといてもらうのか、または僕らがラインを上げて相手をゴールから遠ざける対応もできたはず。ボランチが相手のFWと競るのか、僕らが行くのか。それは試合後、(小林)祐希くんや(柴崎)岳とも話しました。やっぱり僕らDFが行くというのが、ひとつ大きなポイントだったんじゃないかなと」
選手個々の判断で対応が間に合うシーンもあったが、チームとしての対応を共有するまでには至らなかった。それは、まさに「戦術」が浸透していないという現実を示したように思う。