話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
川崎、ミシャ札幌育ちの三好康児。
マリノスで生まれた底知れぬ自信。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/24 09:00
2019年開幕戦のミドルシュートは鮮烈だった。三好康児は日本が誇る2列目の1人になりつつある。
札幌で感じていた「歯痒さ」。
札幌ではフィニッシャーではなく、チャンスメイクの仕事が主だった。そのため、自分の持ち味を出そうとボールを持てば仕掛けていた。だが、自分の良さを出そう、結果を出そうとしすぎてか無理に仕掛けてボールを奪われ、カウンターを浴びるケースもあった。ミシャもプレーが低調とみるや、容赦なく交代させた。
スタメンでは出場しているが途中交代が多く、結果でチームに貢献できていない時期もあった。不甲斐ない自分に苛立つこともあったという。
「結果が求められるポジションで結果が出ていないのは歯痒いというか、悔しいですね。試合に出させてもらっている以上、ゴールやアシストという結果で返していかないといけない。それができていないので自分に腹立つというか、何やってんだろうって思います」
昨夏、三好は表情に悔しさを滲ませて、そう話していた。
試合に出続けて変わった意識。
その後も三好の左足はなかなかうなりを挙げなかったが、9月29日の鳥栖戦で札幌での初ゴールを決めた。アジア大会でU-21日本代表のキャプテンとしてプレーし、帰国した後に結果を出したのだ。それから吹っ切れたように三好の調子が上がり、意識も変わった。
「最初の頃は結果を出したいので“自分が、自分が”って感じだったんです。でも、試合に出続けるうちに、自分のプレーがチームの結果に影響すると感じましたし、その責任を持ってプレーしないといけないと思うようになりました。意識がだいぶ変わりましたね。それは札幌で試合に出続けた経験がそうさせてくれたんだと思います」
意識が変わるとプレーが変わる。
闇雲に仕掛けていたスタイルから変化し、ポジションを自由に動きながらその状況に応じたプレーで攻撃のアクセントになった。それが札幌をクラブ史上最高位となる4位に導いた要因のひとつになり、今の三好のプレーに繋がっている。