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DeNAの新1番に楠本泰史が名乗り。
ラミレス監督も「近いうちに1番」。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/03/21 10:00
楠本は花咲徳栄高校、東北福祉大学を経て2017年ドラフト8位で入団の2年目外野手だ。
大学JAPANの4番が痛感したプロの壁。
大学時代は日本代表で4番を務め、空振りの少ない卓越したバットコントロールが持ち味の楠本だったが、プロに入り痛感したのは明らかなパワーの差だった。
「まったくボールが前に飛ばなかったんです。飛んでもひ弱な打球で、レギュラーの方々と比べて全然違うなって。気づけたことは良かったことだし、自分が生き残るためにはそこを改善しないと始まらない」
このオフシーズンはパワーアップを主眼にトレーニングを重ねた。筋量により体重を増やし、動ける体をキープする。
「あとは知り合いにパーソナルトレーナーを紹介してもらって、バランス感覚を養うトレーニングをしました。野球の練習とは異なる根本的なもので、自分の体を上手にコントロールできるようにするトレーニングです」
また、学生時代からつづけてきた握力やリストの強化にも力を入れた。
「押されて負ける感覚があったので、そうならないようにスイングをしないと」
これらのトレーニングの成果が実を結び、楠本の打球は角度がつき、飛ぶようになった。
インコース攻略と始動の早さ。
「特にインコースのボールに上手く反応できるケースが増えているので、少なからずトレーニングの成果は出ているのかもしれません。あと一番変わったのは始動を早めたことでしょうね。それによってコンタクトが上手くできるようになった感覚があります」
昨季の楠本は左投手を苦手としていたが、オープン戦では安打を重ねており、ラミレス監督はそこも高く評価している。3月16日のソフトバンク戦では8回に代打で登場し、サウスポーの嘉弥真新也から粘った末に痛烈なライト前ヒットを放っている。
「左投手を苦にしなければ、もっとチャンスは増える。右も左も関係なく、その場その場で自分のできることをやっていきたい。今はたまたま結果が出ているだけ。大事なのは上手くいかなくなったときに今やっていることを投げやりにせず、続けられるかだと思っています」