Jをめぐる冒険BACK NUMBER
鎌田大地がポスト大迫になれる理由。
ゼロトップ的ストライカーの可能性。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2019/03/20 11:00
鎌田大地はベルギーリーグで得点ランク5位につけるなど活躍中だ。日本代表のFW争いに割って入れるか。
なぜストライカーとして覚醒したか。
鎌田が今季、ここまでに積み上げたゴール数は、実に12。サガン鳥栖時代からシュートのうまさには定評があったが、もともとはスルーパスを繰り出し、ドリブルで仕掛けることもできる、オールラウンダーのアタッカーだった。
本人も「自分の適性は4-3-3の8番(インサイドハーフ)か、4-2-3-1のトップ下」と語っている。
そんな男がなぜ、ストライカーとして覚醒したのか――。
背景にあるのは、ドイツのフランクフルトに所属していた2017-18シーズンにおける不遇である。
「もう苦しくて、苦しくて仕方がなかったです……」
フライブルクとの開幕戦にスタメン起用され、最高のスタートを切ったように見えたが、その後、ベンチ外の日々が続く。もっとも、困難は加入した当初からあったという。
「周りから見たら最高のスタートを切ったというイメージかもしれないですけど、練習で自分が通用する気がしなかった。スピードも、強度も全然違うし、ピッチはツルツルで滑るのに、みんな100%でスプリントする。それにタッチ制限もあって、付いていけなかった。シーズンも半ばになって、ようやく慣れた頃には陣容が固まっていて、入る隙がなかった」
練習ではゴールを決めていたが。
ポジションの問題もあった。鎌田はインサイドハーフを希望したが、2枠のうち1枠はケビン・プリンス・ボアテンクが手中に収め、もうひと枠を8人ほどで争っていた。
それゆえ、鎌田はサイドに回された。しかし、そこにもアンテ・レビッチをはじめとする、速くて、強くて、うまい選手がいたのだ。
「自分にはスピードがないからサイドでは難しい。でも、監督は『真ん中をやるには守備力が足りない』と。それなら結果を出してアピールするしかないと思って、練習ではトップ3に入るくらいゴールを決めたんですけど、5回中3回良いプレーをしても、2回は失い方が悪かったりして信頼を得られなかった。先が見えなかったですね……」