Jをめぐる冒険BACK NUMBER
鎌田大地がポスト大迫になれる理由。
ゼロトップ的ストライカーの可能性。
posted2019/03/20 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
その言葉には、欧州2シーズン目に懸ける、不退転の覚悟が滲んでいた。
昨年10月のムスクロン戦のことである。2-1とシント・トロイデンがリードして迎えた後半アディショナルタイム。自身が倒されて得たPKを自ら蹴ってシーズン3点目のゴールを叩き込んだ鎌田大地は、ボールをユニホームの腹に入れ、おしゃぶりのポーズでゴールセレブレーションを行なった。
数日前に、待望の第一子が誕生したばかりだった。
生まれてきた子どもへの感謝と妻への労いの気持ちを伝えるため、PKキッカーを志願したように思えたが、鎌田はきっぱりと否定した。
「いや、パフォーマンスがしたいというより、僕は本当にこの1年、結果が大事だと思っていて。純粋に得点数を増やしたかったんです」
そこで鎌田はひと呼吸置き、鋭く、こう続けたのだ。
「これ以上もう、(海外での挑戦で)下はない。ここでダメだったら、Jリーグに戻るしかなくなる。それくらいの覚悟でいるので、まだまだ足りないと思います」
森保監督も満を持しての招集。
22日から始まる3月シリーズでコロンビア、ボリビアと対戦する日本代表に、ベルギーのシント・トロイデンに所属する鎌田が初選出された。
選出の理由について森保一監督は「ゴールという結果を残しているし、昨年視察した際にも、攻撃の起点として、核として機能していた」と語った。
実際、森保監督は昨年11月シリーズでの招集を視野に入れていたようだが、鎌田自身のコンディションの問題もあって実現しなかった。アジアカップを終えたこのタイミングでの招集は、「満を持して」と形容していいだろう。