太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
太田雄貴が開くフェンシング界。
外の人材、企業と組んで前へ進む。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byJapan Fencing Federation/Shugo Takemi
posted2019/03/03 08:00
高円宮杯では、団体戦を戦ったフルーレの選手達と観客が、揃って記念撮影する場面も。
「人を選ぶ」のは本当に難しい。
もちろんマーケティングの観点だけを重視してしまうと、どうしても全体のブランディングの中で、選手を「部分」「パーツ」として見てしまう方も中には出てくるかと思います。しかし今回は、人材を見極めるための豊富な見識を持つスタッフをはじめ、多くの方に面接・選考過程に加わっていただきましたので、その不安はない、と思っています。
それにしても、「人を選ぶ」ことは本当に難しい作業でした。いわゆる採用面接の面接官を体験したのは、今回が初めてです。自分の観点からだけでなく、「眼は多い方がいい」ということも、たくさんの専門家の方に採用側として面接に参加いただき、実感しました。
応募者の方のさまざまな側面は、「眼が多い」ほど見えてくるわけですから。その結果採用させていただいた4名の方々が、今度は協会に対してそれぞれの「眼」で、率直に意見を伝えてくださいます。
競技外のノウハウとフェンシングの融合。
そして、冒頭に記したように、その「眼」は必ずしもフェンシング経験者のものでなくてもいい、と思うのです。
たとえば、経営戦略アナリストとして加わっていただいたのは、江崎敦士さん。外資系のデジタルサービスプロバイダーに勤務している方で、実のところフェンシング未経験者だったのですが、私自身、採用後の段階でそのことをしばらく忘れていたくらいです。
たとえば審判について。審判も強化同様、さすがにフェンシング経験者でないと口は出せません。しかし、審判の人口を増やすには? どう発掘していくのか? といった課題を解決し、強化体制のさらなるサポートの形を模索するためには、競技外のノウハウの転用ができるのではないでしょうか。
競技経験は必ずしも重要ではない。私自身、4人のプロフェッショナルと仕事をしながら、日々実感しているところです。
1月にはもうひとつ、大きな大会がありました。1月26日、27日に開催された「JAL Presents 2019高円宮杯 フェンシングワールドカップ東京大会(男子フルーレ個人・団体)」です。
今回は入場無料。ピストの周囲を観客の皆さんが囲み、選手のダイナミックな剣さばきや鍔迫り合いを間近でご覧いただけるかたちにしました。その結果、数多くの方においでいただくことができました。