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太田雄貴が開くフェンシング界。
外の人材、企業と組んで前へ進む。

posted2019/03/03 08:00

 
太田雄貴が開くフェンシング界。外の人材、企業と組んで前へ進む。<Number Web> photograph by Japan Fencing Federation/Shugo Takemi

高円宮杯では、団体戦を戦ったフルーレの選手達と観客が、揃って記念撮影する場面も。

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太田雄貴

太田雄貴Yuki Ota

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Japan Fencing Federation/Shugo Takemi

「スポーツの世界で働くのに、スポーツの経験は必ず必要なものではない」――。

 そんな実感を、年明け以降、改めて強く抱くようになっています。

 少し前の話になりますが、2019年1月に日本フェンシング協会は、副業・兼業限定(月4日勤務)で募集した戦略プロデューサー4職種で、民間のビジネス・プロフェッショナル人材4名を採用しました。各種メディアで取り上げていただいたように、転職サイト「ビズリーチ」で昨年の10月に公募していたものです。

 想像を遥かに超える、1127名の応募者の中から採用させていただいた経営戦略アナリスト、PRプロデューサー、マーケティング戦略プロデューサー、強化本部副本部長の4名は早速、組織内で動き出しています。

 たとえばPRプロデューサーの方が入ることによって、何が起きるのか。

 私たちフェンシング協会がもっている“情報”の発信のかたちが日々整理され、洗練されていくのを感じています。

 情報には鮮度があり、出すべき正しいタイミングや切り口というものがある。そのやり方を工夫すれば、大きな波を作ることができる。

 TOKYO2020までのマイルストーンを設定していく中で、この大会の前にはこういうPRを、こういう目的のためにしておきたい、という見通しが、これまで以上に具体的に求められるわけです。

 今までは、ここまで徹底できていなかった取り組みが、年明け以降、着々と進められています。

選手の強化とマーケティングの共通点。

 強化本部副本部長には、高橋オリバーさんに就いていただきました。高橋さんは日本コカ・コーラでTOKYO2020のプロジェクト総責任者を務めており、マネジメントやマーケティングの知見も豊富な方です。東京五輪後まで見据えた強化プランを考える、という業務内容です。

 私は、選手の強化とマーケティングには、似通っているところが多い、と考えています。選手をより輝かせるためにはどうしたらいいのだろうか、という観点は、この商品を売るためにはどうしたらいいのかを考えるマーケティングのノウハウに通じるものがあります。

 競技強化面はスペシャリストであるコーチ陣が担う役割ですが、さらにもっと巨視的な目線で、「オリンピックで金メダルを獲る、そして獲り続ける」ために、未来のトップアスリートには、小中高それぞれのステージでこういう姿になっていてほしい、部活動ではこういうことをやっていてほしいという、大きなグランドデザインを描いた上で、それを形にしていくための強化計画を、マーケティングのノウハウから編み出していければ、と考えています。

【次ページ】 「人を選ぶ」のは本当に難しい。

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