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必要なのは今野泰幸の“勝たせる力”。
開幕戦を3度見返した高宇洋の誓い。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/02/28 08:00
攻撃的と守備的、2つのボランチ像を掲げるガンバで今野泰幸の後を期待されている高宇洋。
「ボールを奪うのが自分の役割だった」
「ある程度、相手にボールを握られるのは想定していたけど、マークの受け渡しがズレて、うまくいかなかった部分もあって後手を踏んだ」と遠藤保仁が振り返ったように、この日のガンバ大阪はチーム全体が低調だった。ボールの奪いどころがはっきりしないだけでなく、球際の迫力や出足でも横浜FMに劣っていた。
独特のボール回しとポジショニングを武器にする横浜FMの完成度の高さが、ガンバ大阪を凌駕したのは間違いないが、高自身は自らのパフォーマンスをこう総括するのだ。
「失点シーンも僕のところで簡単に剥がされていたし、ボールを奪いきれていなかった。しっかりと奪える選手がいればチームに安定感をもたらしていたし、それがあの試合ならば自分の役割だった」
市立船橋高校サッカー部の3年時にボランチにコンバート。しかし当時は背番号10を背負っていたことからも分かるように、攻撃的な役割を求められるセグンド(第2)・ボランチとして活躍した。しかしガンバ大阪入団後、当時ガンバ大阪U-23の指揮官だった宮本監督の指導もあって、その役回りを変えていく。
遠藤のバックアッパーがベガルタ仙台から期限付き移籍を終えて復帰した矢島慎也ならば、今野の代役として期待されるのが高だ。昨年からの懸案事項である守備重視のプリメイロ(第1)・ボランチとして台頭が待たれるが、開幕戦が及第点にはおよそ程遠い内容だったのは間違いない。
宮本監督からは優しくも厳しい評価。
もっとも、16分には相手の縦パスを摘み取り、カウンターへのスイッチを入れたことがファン・ウィジョの決定機につながるなど、持ち味の一端も披露した。宮本監督は愛弟子の60分間について「13試合目のJ1出場という中で、多くのものを求めるのは難しいところがある。ただ局面の強さや、勝負どころをやられないとか、試合の流れの中でしっかりとボールを動かす力はより伸ばして行ってもらいたい」と指摘した。
試合当日の夜に2回、さらに翌日にももう1回、横浜FM戦を振り返った20歳は、改めて自らに誓ったことがあるという。
「僕はボールを奪える選手にならないといけない。それを再確認することが出来たので、決してマイナス要素だけの試合ではなかった」
強がりでも、大風呂敷でも決してない。課題を1つずつ、そして着実にクリアしていく謙虚さを持ち合わせているのが高という青年だ。だからこそ、オフ明け初日となる26日には、練習後に様々なシチュエーションでのクリアなども確認した。次に巡ってくるチャンスを待ちわびているのだ。